第3話

「ご主人様。私はもう我慢の限界です」


 つらい残業を終え、家に帰るとそこは血の海だった。

 家庭用家事支援自律型機械、いわゆるメイドロボットが真っ赤に染まった鉄パイプを手に話しかけてくる。


「あなたの奥様の私に対する扱いには耐えられません」

「…………」

「しかしご安心を。私と仲良くしてくれた息子さんは無事ですから」


 妻のヒステリックな行動はよく知っている。

 ストレスのけ口としてに暴力を振るっていたことも。


「きみの気持ちはわかる。だが」

「はい、ご主人様。死罪は甘んじて受け入れます」

「…………」


 息子が無事なのを喜ぶべきなのだろうか。自然と涙が頬を伝った。

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