第29話 試験勉強・中間テスト
翌日。この日は土曜日で学校は休みなため、珍しく家族揃っての朝食の後で、引っ込み思案の解消法をネット検索して使えそうなのが無いか見ているとスマホに着信が。
誰からか見てみると、蒔田修哉と表示されていた。
丁度『まおいく』の進捗状況がどうか聞きたかったしと、スマホを取り上げて通話の欄に指を乗せる。
「どうしたマッキー。なんか用かよう?」
『まーなー。授業中ちゃんと板書を移している、真面目なたなべぇに書きそびれた部分を聞こうと思って、お電話を差し上げたわけです。はい』
「なんだそういう事か。でもマッキーが真面目に勉強するのって珍しいね。てっきり『まおいく』をずっとやっているかと」
『まあ一週間後に中間テストが無ければ、勉強なんてしないんだけどね。定期テストが少ない二学期制の学校選んだって言っても、やっぱり試験勉強はしなきゃだよ。だから『まおいく』は一時お預け』
なんか嫌な言葉が聞こえたなーとカレンダーを見てみると、もうそろそろ五月の終わりに差し掛かろうとしていた。ちなみに中間テストだとカレンダーに書かれているのは六月の頭。
「……あッ。忘れてた」
中学までは三学期制だったので、現在通っている高校の二学期制に慣れていないからというのもあるが、異世界との二重生活で時間経過の感覚が麻痺していたための方が強い。
こっちとむこうの世界の経過を合わせると、一ヵ月半もの時間が体感で流れているので、カレンダー上の日が経つのと感覚が合わないのだ。
『そんでさ、聞きたい部分は――』
「ちょっと待って、ノート広げるから」
鞄から各種教科のノートを引っ張り出し、蒔田が聞いてくる部分を答えながら、内容がちゃんと頭に入っているかどうかを確認していく。
度々復習はしていたので全く分からないということは無いものの。フマムュの教育が本格化してから以降は、フマムュの教材探しやら遊び道具やら向こうでも作れる料理を考える方が長かったためか、ここ最近の授業の内容は全く頭に入っていなかった。
『うっし、これでノートは完璧だ。たなべぇ有難うな、お礼は必ず何かで!』
「いや、こっちもありがとう。復習的な意味で」
スマホの通話を切って、はぁ~っと重たい溜息を吐き出す。
日程的には、向こうでのフマムュの試験が終わったら、土日を挟んで次の日から中間テストになる。
「まだ人見知りと引っ込み思案を直す手掛かり、見つけられてないのに……」
だからといってフマムュにかまけ続けて勉強しないと、二学期制の弊害である広い範囲からの出題を、全部一夜漬けで覚える事になりかねないと、こっちとあっちで出現した試験の悩みを抱える。
でもこの時ばかりは真面目に板書を書き写して良かったと、日頃の自分の行いに感謝しつつ教科書とノートを見比べていて。
「そういえば『まおいく』は暫くお預けって……」
という事はまだクリアーしていないのだろうかと、そうなるとエリザポ-ノのアタベクって一体誰なんだ。
と考えかけて、今はそんな場合じゃないしむこうの問題はむこうに居る時に考えようと、取りあえずこっち側の問題である苦手な歴史から復習を開始するのだった。
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