あのときから僕は
耕史郎
第1話 終わり
始まりがあるのならば終わりがある。
僕は今日すべてを終わらせるためにここにいるのだ。
「なあ、悪かったって」
彼の声がかすかに聞こえる。
「もうこんなことは辞めにしないか」
僕の手には血塗られた刃渡り10センチぐらいの包丁が握られている。
「あいつのことは悪いとは思ってる」
彼の言葉はほとんど耳に入らない、入っていても僕の心には届かなかっただろう。
「だから頼む、許してくれっ!」
彼は必死に、僕に許しを請いた。
「‥‥‥だからさ」
「‥‥は?」
僕の言葉は彼に届いたのか分からない。ただそれは僕には関係のないことだ。
「‥‥だよ」
「‥‥」
すべては決められていた
この時、この瞬間さえも。
「チクショーっっ」
彼は血まみれになりながら最後の力を振り絞って僕に向かって突っ込んでくる。
ごめんね。
気づいてあげることが出来なくて。
「#$%○!!」
持っていた包丁を思いっきり振り上げる。
ごめんね。
こんなことしか出来なくて。
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」
僕を許してください。
あのときから僕は 耕史郎 @kousirou
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