外伝6話 天使ヴァルエル

...いつからだろう。私がこうなったのは。


「いつからデスかねぇ私がこうなったのは。これもすべてあのルシファーのせいだ。許せねぇ許せねぇ許せねぇ!なぁにが天使を守るだあんな仕打ちをしておいてよぉ!」


...遥か昔、私が天使だった頃、私は天使ヴァルエルとして忠実に天使長ルシファーの秘書として仕えていた。

ルシファー様の代わりに私が街に現れた悪魔を討伐しに行った時だ。人に化け、天使を陥れる悪魔だった。私は正体を暴き、トドメをさそうとしたその時、悪魔に妙なことを言われた。


「お前知ってるか?天使に化けてた時に聞いたんだが天使長ルシファーは天使に隠し事をしてるらしいじゃないか。何故かしらねぇが創造主の神と会ったのにも関わらず、天使の指名や神のお告げも何もぜぇんぶ教えないみたいじゃねぇか!天使のトップだって聞くからどんな奴だと思っていたが一般天使にも信用されてないみてぇじゃねぇか!ぎゃははははははははは傑作だぜぇ!」


そう言って悪魔は消えていった。ルシファー様がそんなことする訳がない。全天使のことを考え、完璧な答えを導いてくれる。そんな方だ。悪魔の戯言に違いない。そう思っていた。その日からだろうか、頭痛の日々が続いたのは

そしてある日、ルシファー様は長い間席を空けると言っていたが戻ってきていた。


「ルシファー様、戻っておられましたか。ですが、ずいぶんとお早い帰還でございますね。」

「あぁ、少し君に伝えたいことがってね。」

「...何でしょうか?」

「今日限りで君を秘書をやめてもらう」

「ルシファー様?!な、なぜです?!」

「わからないのか、君が使えない無能な秘書だからだよ。言うまでもないだろう」

「...」

「用はそれだけだ、さようなら。2度と顔を見ないことを祈るよ。無能の顔は見たくないからね」

「...なぜ。私は全ての仕事を忠実にこなしたはず...なのに、なぜ」


...そうか、"やっぱり"間違っておられる。前からそうだ。悩みがあろうと全て1人で抱え込み、1人で解決する。私というものがありながら!

あーあれか、天使長の立場を利用して何か企んでいるのか。そのために近くの私を消したかったのか、なるほどな...はは。


それからの事はあまり覚えていない。頭痛は酷くなっていったのは覚えている。あと、たまに声が聞こえた。


(...ギャハハハハハハハハ面白ぇ!お前がその気なら容赦しねぇ!どう仕返ししてやろうかなァ!)


そんな、あの倒したはずの悪魔のような声が聞こえる。


いや、


私だ。悪魔のように笑っているのは私だ。信頼し、信頼されて勤勉に仕えていると思っていた愚かで滑稽な天使。そして天使の頂点に立ち、誰にでも優しく誰にでも平等な天使長だと勘違いしていたそのバカバカしさに笑っているのだ。悲しさ、怒りさえも通り越して全てが笑えてくる。



...そして黒が混じった




秘書の役職を外された私は1人寂しく暮らしていた。だがある日のことだ。1人の天使が我が家を訪れた...ルシファーだ。私は怒り狂った


「...ヴァルエル、探したよ。何故こんな所に」

「ルシファーァァ!貴様どの面下げて来やがっタァ!お前が顔も見たくねぇつったんだろうがよォ!」

「ヴァル...エル?何の話だ?分からない。私がいない間に君に何があった。」

「この期に及んでとぼけるのかぁ?!クズが!クズがクズがクズが!コロス、お前はイマココで俺が殺してやる!」

「...ヴァルエル、すまない。そこまで、」


「黒に染まるまで気づけず...すまない」

「今更謝ったところでおせぇんだよ!!!俺がこうなったのも全部全部ぜぇぇんヴ!お前のせいだからなぁ!!ギャハハハハハハハハはははははは!」


「すまない、ヴァルエル。いや、名も知らぬ悪魔よ。眠れ。」


そして私は、ルシファーによって斬られた。だが私は生きていた。気がついたらそこは魔界だった。


そして私は、完全に黒に染っていた。


「痛てぇ...痛てぇよぉ...あの野郎...存在まで消しに来るとは...許さねぇ許さねぇ...あいつ、覚えてろよぉ!ここで力をつけ、いずれぇ!貴様を殺してやる!お前の大好きなだあああぁい好きな天使の目の前でよぉぉ!!!

ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」


そして今、憎きルシファーが目の前にいる。魔王サタンとして。皮肉だよなぁ!お前がゴミのように斬り捨てていた悪魔とぉ!同じになるとはねえ!


「ヴァルナード、君の口調...それとみなりを見ていると、昔仕えていた秘書の事を思い出すよ。」

「そうなのですか?初耳ですね。でしたらその方も忠実に従っていたのでしょうね」

「あぁ。そうだとも。とても忠実だったとも」


俺の復讐はこうして始まったのさぁ!ギャハハハハハハハハ











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追憶のアマノエル あかつき @Tu_Kye

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