外伝4話 魔王サタン

まただ...私はたまにおかしな夢を見る。


「サタン様、いかがなさいましたか?顔色がよろしくないではありませんか」

「ヴァルナードか...いや、大丈夫だ。心配かけてすまないね」

「いえいえ、私めは貴方様の臣下でございます故、至極当然のことでございます。」

「そうか...」

「恐れながらサタン様」

「なんだい」

「一体、どうされたのでしょうか。もしよろしければこのヴァルナードに聞かせていただけないでしょうか」

「あぁ、そんなに大したことではないよ。ただ少し、変な夢を見てね」

「夢、ですか」

「そうだ。たまに見るんだ。最近その頻度も段々増えている気がしてね。何かわからないかい?」

「...なるほど...。申し訳ございません、私め如きでは...」

「君でもわからないか。ヴァルナード、もう下がっていいよ。少し良くなったからね」

「はっ、ではまた何かありましたら」


一瞬にして姿を消すヴァルナード。玉座に座り込むサタン...ルシファーは、頭を抱え夢の内容を思い出していた。


...


暗い...またここか。一体なんだというのだ。わからない。この、"私でさえも"わからない

私にはやるべきことがある。こんな所で迷っている場合ではない。


そう、神を殺す


そのためにも私は、力をつけなければならない。あの忌々しい創造主、神をも凌駕する..超越する力を!

そうだ、天使長にまで登りつめた私になら不可能なことはない!

はは...ははははは!待っていろ神よ!

まずは力をつけ、下界を...


...誰だ。...誰だ誰だ誰だ誰だ!


私は完璧な存在!神を超えることなど造作も


...るさい。うるさい


魔界は既に我が支配した!どうだ神よ!これでいい加減無視は...


...黙れ!黙れ、黙れ黙...不用品...?


ぎゃあははははははははははははは

何たる悲劇ぃ!悪魔、可哀想ゥ!


...いや、違う。これは全て


最高のショーをハジメよう!しかしィ、開演にサキダちマシてェ、もうしばらく、お待ちクダさい...

ひゃああーーはははははははははははは!!


...神の


最高の舞台を完成させるはヤハりィ、観客ゥ、そして最高の演者、アルいは道化...さらにさらにさらにぃ!素晴らしい演出ゥ!それを考えるのは私ィ

完璧な私!


...

......もう、全てがどうでもいい。この世界も、神も。何もかも。


...いや、天使は護る。この命に変えても


「おぉっと、案外粘りマスねぇ。流石と言ってオキまショーかねえ。では、またの機会を...ぎゃあははははははははははははは!!!」



夢の内容を思い出したルシファー。やはりわからないことだらけである。一体何故あのような夢を見たのか、そしてあの声は...

だがルシファーにはやるべきことがある。だから、一旦夢のことは忘れることにした。"私ならできないことはない"そう思いながら。



...ルシファーの元から離れたヴァルナードは、趣味の紅茶をいれていた。


ガシャンー


「おっと、これはいけない。高いかカップを割ってしまいました...。」


怪我をしないようにホウキで片付ける。その後...


「私め...俺がこうなったのも、全てはアイツのせい。く...くくく...残酷な理に沈むアイツがタノシみダゼぇ!!ぎゃあははははははははははははは」









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