第15話 難あり商人と魔封じの水晶
ミカエルはアマノエルを抱えたあと、病院のベッドで寝かした。ミカエルはアモンにアマノエルのことを一言だけ伝えると病院を後にした。右手には魔封じの水晶を手にしている。そして向かった先とは...
黒塗りで鉄出できた一階建ての建物。なんとも言えない奇妙な雰囲気を漂わせており、入りる気が失せそうな見た目をしている。門は骨でできており、入口の前にはトーテムが置かれている。木の看板には「道具屋・その他諸々」と書かれている。ミカエルは躊躇なく扉に手をかけるが、扉を開ける前に少し動きをピタリと止め、軽い溜息をついた。
「邪魔すんぞ。ちょっとお前に用ができた。いるんだろ」
店内は店の外見と似合った様々な奇妙な道具が揃っている。見た感じ人気が無い様子だが...
「おーーほほほほこれはこれはミカエル様!お待ちしておりましたぞ〜!いらっしゃいませ〜。今回は、なんのご要件でしょうか?」
「はぁ...ゲルダ、いつも言っているが一応私は客だ。背後から急に出てくるな。」
ミカエルの背後から急に現れたゲルダという男は低身長で短い手足、丸々と太った体型で地面につきそうな長髭にサングラスをつけた男だ。ゲルダという男はミカエルの来店を待ちに待っていた様子で、嬉しそうにクルクルと回っている。
「ゲルダ、これを知ってるか」
「おおおお!これはこれは綺麗な水晶ですな〜。勿論、知っていますとも、魔封じの水晶ですな?」
「あぁそうだ。こいつの力を強力にすることは出来るか?」
「ほほーう...?誰にも言えないような目的がありそうですな〜しかし!それを聞くことはしないですよ!ワシは友好な取引さえ出来ればそれでいいのですからな〜。さてさて、ミカエル様の質問ですが...可能だと言っておきましょう!」
「そうか、では頼んだぞ」
「かしこまりました!作業に数時間ほどかかりますのでワシが揃えた素晴らしい商品でも見て暇をお潰しください〜早速作業に取り掛かりますね〜おほほほ〜」
ゲルダはクルクルと回転しながら店の奥へと消えていった。それを見送ったミカエルは溜息をついたあと独り言で「相変わらずよく喋る...」と言った後に言われた通り店の商品を見ることにした。
しばらく経って、ミカエルが見るものもなくなり退屈そうにしていると、また急に背後からゲルダが現れた。
「おーーまたせ致しました〜魔封じの水晶の威力を増幅させましたぞ〜!名を...魔食いの水晶とでもしましょうか〜ほほほ、ほほほ〜」
「魔食い...どんな能力になった?」
「簡単に言いますと、一時的に魔力を封じるのではなく吸収するものになりましたな〜それに、その吸収可能な魔力量も大幅に上げときましたぞ〜な・に・や・ら、天使界史上凄いことをしでかしそうな予感がしますしな〜ほっほっほ〜」
「はぁ...これだがら来たくなかったんだ...。とりあえずご苦労だった。いくらだ?」
「まさか!七大天使様の頼みですぞ!お値段なんてとんでもないですぞ!」
「...これくらいでどうだ」
「んふ〜さすがはミカエル様!感謝感激ですぞ〜!ミカエル様の温情、ありがたく受け取りますぞ!まいどまいど〜」
「はなから貰うつもりだろうが...ありがとよ、また用が出来たら来る」
そういってさっさと帰ろうとするミカエルだが、ゲルダは呼び止める
「ミカエル様、しばしお待ちください」
「...?なんだ」
「これから大きな困難、苦悩が貴女様に降り注いできましょう。完璧に解決しようとせず、たまには無理と分かれば妥協する事も大事ですぞ。引き止めて申し訳ございません。ご武運を」
ミカエルはそれを聞いたあと無言で店をあとにし、アマノエルの元へと戻るのであった。
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