第1話 入隊式と馴染みの友
これはとある天使、アマノエルの物語
「ん〜今日もいい天気ね。緊張するけど頑張らなきゃ!お母さんいってきます!」
元気よく家を飛び出す少女は桃色の髪の毛、そして二枚の純白な羽を生やしている...所謂天使だ。
少女は天使学校を卒業し今日から悪魔討伐隊へと入隊する、が
「アマノエル、帽子忘れてるわよ〜」
彼女は少し抜けたところがある。母親が娘の忘れ物に気づき、大きな声で呼びかける。元気よく家を飛び出そうとしたアマノエルだが、母親の言葉を聞くと足をピタリと止めた。そして思わず独り言をこぼしてしまう。
「あれ...あはは。肝心な時にいつもこうね。でも落ち込んでられないね。頑張らなくちゃ!」
明るい彼女は自分にそう言い聞かせ入隊式場へと足を運ばせる。
入隊式場には大勢の悪魔討伐隊へと入隊する天使が大勢並んでいた。勿論その中に知り合いも多いだろう。アマノエルに気づいた一人の天使が彼女に近づいてきた。
「よ、アマノエル!元気か?ここでもよろしくな。」
「アモンじゃない〜私は元気だよ、ちょっと緊張してるけどね」
アモンという天使はアマノエルの天使学校での同期である。
「ここでも俺は活躍してみせるぜ。悪魔なんてバッタバッタと倒して貢献し名声を上げ、七大天使を目指してやるぜ!」
「あはは。アモンは相変わらず強欲だよね。少し安心したよ」
「おう、目標は高い方がいいだろ〜。お、そろそろ始まるようだぜ」
天界中に大きな鐘の音が鳴り響いたあと、バサッバサッと大きな羽音をたて、式場に高台があるのですがそこに一人の天使が舞い降りる。すると先程まで式場に響いていた喧騒が一気になりやんだ。その天使は四枚羽だ。天使は羽の枚数が多いほど力がある証ある。天使学校の先生でも四枚羽の持ち主はいなかった。やはり迫力が桁違いだ。
静かになったのを確認すると四枚羽の天使が口を開く。
「ひよっ子共、集ったな。俺はサンダルフォン。七大天使の一人、メタトロンの兄弟だ。メタトロンは不在な事が多いため、俺が代理を務めることも多い。この場に来たという事は悪魔共と戦う覚悟がある者だということだな?もし覚悟がないのなら今からでも遅くない。家に帰って平穏に暮らすんだな。生半可な気持ちでは無駄に命を落とすだけだ。もう一度言う、戦う覚悟があるやつだけここに残れ、この後は配属された部隊へ行け。俺からは以上だ。」
そう言葉を残すとまた羽を広げ物凄いスピードで天へと羽ばたいていった。
「すげえ...あれが七大天使代理か〜...威圧感がちげえぜ」
と、入隊式場にいる天使達はまた騒ぎ始めた。一方アマノエルは
「...」
ポカンとしていた。
見かねたアモンが呆けた面をしているアマノエルに、顔の前で手を振り、顔を覗き込みながら呼びかけた
「おーいアマノエル〜おーい」
「わっ!ビックリした!何?」
お化けが目の前に現れたかのように驚き間抜けな声を出してしまった。そんなアマノエルにアモンは呆れて言う
「何?じゃねえよ何ぼーっとしてんだ」
「あー...へへ。威圧されちゃった」
「まあわからなくはねえがな。すげえよなあ。いつかはあんな風になれるかな!」
「それはどうだろう...」
「どうだろう...だと?」
「あー...うん頑張って!応援してるから」
「全く。俺は絶対なってみせるからな!見てろよ」
「はいはい。ていうか配属部隊の方に行かなきゃだよね。アモンは何処に配属されたの?」
「聞いて驚け!ミカエル様の所だな。お前は?」
「奇遇だね私もよ。」
「なんだ自慢してやろうと思ったのに。でもまた一緒に頑張ろうな!」
「うんよろしくねアモン」
「しっかし、お前って戦闘タイプに見えないんだけど?」
「んーそうなんだけどねえ。わかんない。あ、もう時間だよ一緒に行こ」
「おう」
そんな会話をしながら、二人は配属先へと向かうのであった。
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