追憶のアマノエル

あかつき

本編・天界編

第0話 プロローグ

これは...夢だろうか。色々な情景が代わる代わる映る。


「人間なんて...人間なんて天使の害よ!皆消えればいい!」


天使...?だろうか。白い...いや、黒い羽だ。


「必ずお前を守る...絶対に!いくら俺が堕ちようとも...絶対に!」


この男は...?私はこの男を...知っている?


「もう遅い!私はもう止まることは許されない!止めるの言うのなら力ずくでも進ませてもらうぞ!」


とても苦しそう...。自分が間違っていることをわかっていながらも、もう歯止めがきかなくて、辛くて、苦しそうだ。


うっ、急に明るくなって...眩しい。眩しくて目をつぶってしまう。

あぁ少しずつ見えてくる...。やっと覚めるのだろう。


――あれ、私...何を...ここは...何処?長い夢を見ていた気がする...。ていうか私は...私って...


誰だろう...?


何も思い出せない。分からない分からない...何か大事なことを忘れている気がする。


(人間はクソだ。何故天使に劣る人間なんかを気に入るの...?おかしい、そんなの間違ってる!)


あれ...今のは?分からない。なんだっけ。自分が分からない。


「ちょっとそこのお嬢さん、こんな所で座り込んでどうしたんだい?」


この人は誰だろうか...でも、この人なら色々と教えてくれそうだまずは...


「あぁ、見ればわかる通り警察なんすけど...加賀 岩太って言います。それで、こんな所で何してんの?」


ケイサツ...?ケイサツって何だろう?

それにこの加賀 岩太という人...どこかで会ったことがある気がする...わからない


「えっと...ここがどこか分からなくて...」

「え、分からない?君名前は?」


「えっと...わかりません」

「困ったなぁ身分を証明出来るものある?」


「証明...ないです」

「んー困ったな...じゃあとりあえず俺と来てくれる?」


「はい...」


とりあえずこの人について行こう。そして情報を得よう、そうしよう。そうすれば...


「待ってくれ、やっと見つけた。すみません、こいつは私の連れです。」


連れ...?連れられた記憶はないけど...私のこと知っているのかもしれない。でも、もし怖い人だったら嫌だな。


「も〜ちゃんと見放さないでくださいね、君もはぐれないように気をつけて」


ケイサツ?という人は行ってしまった...。情報を得れる機会を失ってしまった。でも、この人なら何か知っているのかもしれない。


「え、えっと貴女は...?私の事何か知っているんですか?私...何も覚えてなくて...」

「あぁ、よーく知っているぞ。私か?私の名前はだな...」


私は記憶が無い。ここが何処なのかも、名前も自分自身のことすら分からない。そんな私を拾ってくれた、――という人は私に住む場所をくれた。記憶を思い出すまでここにいていいそうだ。そして私に、この地球でのことを色々教えてくれた。


「お前、名前も覚えてねぇんだよな?なら今日からお前は...そうだな。 そう名乗るんだ」


この人が「 」という名前をつけてくれた。

何となくだけど、いい名前だと思った。

この人は口も悪く、怖い顔をしているけど案外優しい。


色々教えてくれて、色々勉強した私は、大学というものに入学したいと思っている。




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