幕間 その時のパーティーメンバー達


(今回のお話は第2章21話より少し前のお話です。ダイキがいなかった間の彼女たちのお話をお楽しみください)



 *




 わたしこと、アリスは今カンカンに怒っています。


 何故ですかって?


 そんなこと決まっています!!だいきがわたし達を見捨てて一人どこかに逃げていったという事です。


 本当に信じられません!!パーティーメンバーでもあるわたし達よりも優先するべきことなんかあるんですか!!


 全く......だいきの好き勝手な行動には本当に手を焼かされます。わたしがしっかりしなくては!!


 それよりも、今は本当に一大事なのです。


 わたし達の今の状況は........一文無し寸前です。


 ええ、分かっています。今これを読んでいる皆さんは、全くこの状況が理解ができないと思います。


 それもそのはずです。なんたってこのわたし達でさえも、こんな状況になった時は、理解ができませんでしたから。


 ほら、そこにいるラーシだって、だいきを呼び止めようとしたのに対して、完全に無視されたので、完全に固まっています。


 まあ、メディーは全く気にもしていませんが。


 わたし達は今冒険者組合の中にいます。


 というか、そうメディーです!!


 あの子が今回の原因なのです!!


 そう、あれはあの時、その日もだいきがふらっとどこかに行ってしまった日のことです。



 *




「なあ、メディー?」

「なんですかぁ?」

「私のポイントが、減っているような気がするんだが、知らないか?」


 ラーシが、そう言ってメディーに聞いていました。


 あっ、ちなみにわたしはというと、だいきが勝手にいなくなったことへの怒りを封じ込めながら二人の会話を聞いました。


「......そういえばぁ、最近、ダイキが、ポイントの統一化をしたそうですよぉ。なんでもぉ、『かなりの大金があるんだし、使いたい時に使えないと嫌だからな』だそうですよぉ」


 と、本当に少しだけでしたがビクッ!!とメディーの肩が揺れたのをわたしは見逃しませんでした。


 ラーシも何か気づいたのか、疑うような視線をメディーに向けて、


「だか、それでは、私のポイントが少なくなったことの理由にはならない。......本当に、何も知らないのか?」

「ひゅ〜......ピュ〜......ふーふ......」

「「いや、吹けてないぞ(ですよ)」」


 これは、完全に怪しいですね。


 きっと、メディーはわたし達に何か隠しているはずです。


 わたしとラーシは二人で目配せをし、メディーが自分の端末をこっそり後ろに隠そうとしているところを、


「「それ!!」」

「ああぁ!!」


 わたし達は二人掛かりで取り押さえることに成功した。


 わたし達が取り押さえた後は、メディーは観念したかのように、天を見上げ、意気消沈しています。


「どれどれ......」


 ラーシに、メディーを抑えて置いてもらい、端末の残高を確認してみると、


[残高0。ダイキ様御一行の預金残高100万スター。]


「残り100万スターあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!??????」


 そう、このロリっ子は、あれだけあった大金をほとんど使い尽くしていたのです。



 *




「まったく、メディーはなんてことをしてくれるんですか。」


 だいきが逃げた後、わたし達はこれからのことを話し合うため、冒険者組合の酒場の中で話し合っていた。


 今回の元凶であるメディーは口を尖らせている。


「だって、しょうがないじゃないですかぁ。ダイキから、タンサンっていう飲み物のことを聞いたら、われが自分で作ってみたくなってしまったんですよぉ」


 この世界は、冒険者専用の端末のようにかなり文明が進んでいる物もあるのですが......


 だいきが、食べてたような食べ物などはまだまだ無いのです。


 だから、だいきが昔の味を欲するのはわかるのですが......


「というより、なんであんなにお金を使ってまで、炭酸を作ろうと思ったんですか?」

「だって、タンサンというものを再現したら、ダイキが喜ぶかなと思ったんですよぉ......」


 メディーにとってはふっと浮かんだ一言なのかもしれない。


 でも、わたしは、わたしにとっては一瞬モヤモヤっとしたものが、胸に込み上げてくるのを感じた。


 一体これは何なのですか......?


 その不安をわたしはすぐには拭えず、でも、このままでもダメだと思いわたしはなんとか気持ちを切り替えた。


 が、今度は現状の酷さに頭を抱えることになった。


まさか、メディーが手当たり次第に材料を買い集めるために大金を勝手に使用していたなんて。


「気持ちは分からなくも無いですけど、それでも、もっとやり方はあったはずなんですがね......」


 わたしは思わず呟いていた。


「確かにそうですがぁ、マッドサイエンティストとしてはよくあることなのですよぉ。そう、たとえば途中までタンサンを作成しようとしていたのですが、我は気付きました!!まず、我が第一にタンサンとは何かを理解していなかった事にです!!」


 それを聞いてわたしはもう唖然とするしかなかった。


 そう、だいきならばきっとこう言ったはず。


「何でこんなことになったんですかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」







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