第17話一大事いいいいいいいい!?


 シェリーの話を聞いた俺は、まず、率直に思ったことを言った。


「それのどこが、街の危険ななんだよ!!」

「しょ、しょうがないじゃないか。そうでも言わないと、あんちゃんは話しさえも聞いてくれなかっただろう!!」


 いや、もちろんそうなんだが......


 ちなみに、今は俺達はリズが用意してくれた、イスとテーブルに腰掛けている。


 シェリーの言った街の危険というのは、ただ単にこの前の屋敷に、大切にしていた家紋の入ったペンダントを落としてきてしまったかもしれないということだった。


 まあ、確かに大変と言えば大変だがなあ..........本当の意味の街の危険じゃなくってマジでよかったぜ。さすがに二回目はないよな。そりゃあそうだよな。


 俺が一人で納得していると、リズがティーポッドを持ってきて戻ってきた。


「ねえ?君たちは僕を除いて何の話をしているのかい?」


 今更ながら、俺達は大変なことをしでかしてしまったのかもしれない。


 俺はシェリーをちょいちょいと呼んで、2人だけで円陣を組むようにした。

 リズが不審がってないか心配だが........


「おい、この話ってリズの前でしてもいいのか?」

「あっ....そ、そうだね。こんな話を聞かれたら、私が盗賊だってバレちゃうじゃないか!!」


 俺はたまに思うのだが、こいつにはドジっ子属性がついてるんじゃないのだろうか?

 そのくらい、こいつはミスを何度も起こしてきたような気がする.....。


 俺はシェリーと目配せをし、リズに向き直って、


「ソ、ソウイエバ、キョウハヨテイガアッタヨウナ......」

「ソウダッタ、ソウダッタネ。ジャア、ソウイウコトデ......」


 俺達はサッと店の外に出ようとしたのだが、


「人がお茶を出しったってのに、一口もつけずに出ていこうとするとは、いい度胸じゃないか....」


 あれ?なんか、リズが起こっているような気が......


 これは感じたことがある.......そうだ、これは、あの時のアris......


 それを思い出したときには、俺はもう、椅子に座りなおしていた。それにならい、シェリーも急いで、俺の対面の席に座りなおした。


 リズは、『はあ....』とため息をつくと、こっちにジト目を向けて、


「最初からそうしてくれれば、僕だってそんなの本気で怒ったりしなかったのに....ちょっと待ってね、今、お菓子を持って来るから」


 そういって、どこにあるのかは知らないが、おそらく台所に行って、さっき言ったようにお菓子を取りに行くのだろう。リズは奥の部屋に戻って行った。


 それを見送ると、シェリーが俺に詰め寄ってきた。


「ちょっと!!何度戻ったのさ!!あのタイミングなら帰れそうだったのに!!」

「バカ!!あのオーラを放っている奴には極力刺激しない方がいいんだ!!....俺の経験上、ろくなことにはならないからな....」


 俺にガチトーンに感じたのだろうか、シェリーはおとなしく引き下がった。


 そこにお菓子を持ってきたリズが戻ってきた。お皿の上には、クッキーの上に紫色の果実が乗っている。ぱっと見、ブルベリーのような物に見える。


 それを俺達の前に出すと、リズは上機嫌なのだろうか、は自分で一つ手に取り、笑顔で俺の口元までは運んできた。

 ちなみに、シェリーは持ってきた時点で、早くも3つ目を食べようとしている。


「はい、お兄さん口を開けて。お兄さんが好きそうな、見た目じゃないけど、こんなことをしてくれるチャンスはもう2度とないかもしれないんだから、はい、あ~ん♡」

「いや、でもなあ........」


 なんか、こいつが笑顔なのが怖いし、食べたくないんだけれど........

 まあ、別にいいか。


 俺は一つ食べてみることにした。サクッっとした食感に、かすかに感じる、甘酸っぱさが絶妙なハーモニーを醸し出している。


「これうめえな!!もう一つkur....」


 あれ、なんだか、視界がぼやけてきて、ふらふらして...ki.......te.....


 最後に認識できたのは、机に突っ伏しているシェリーの姿だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る