第16話リズの店でええええええええ!?


「で?今日は何しに来たんだい?お兄さん?」

「まあ、ちょっとな。今、俺は逃げ回ってんだよ」


 シェリーと買い物をした日から、早一週間。

 俺は、今リズの店に来ていた。それには理由があるのだが......


「それより、なんか食べ物を俺に恵んでくれないか....」

「はあ....それくらいなら、別にいいけどさあ....僕とお兄さんの仲だしね」

「俺とお前の間になんか会ったみたいな言い方をするな。だが、食べ物はマジで助かる....もう、4日もまともになんも食ってねえんだよなあ」


 そう、俺はあの日以来この街中を逃げ回っている。


 あ、ちなみに、盗賊の正体がばれたとかいうわけじゃねえからな。


 そう、あの日俺が家に帰ると........



 *

 *



「やっと帰ってきましたか!!だいき!!」


 俺はなぜか家につくとアリスに怒鳴られていた。いや、マジでなんで?


 俺は床に荷物を置き、アリスの方を向いた。


「いや、なんで怒ってんの?」

「メディーとラーシはだいきを探しに行ってくれているんですよ!!」

「いや、別に俺がどこに出かけようか関係ねえだろ。というか、なんでそんなにカリカリしてんだよ?あんまり怒るとせっかくの整っている顔が台無しだぜ?」


 そんな軽口をたたくも、アリスは全く反応してくれnai....あ、いや、ちょっと照れてるぞ。なんだよ、こいつも意外とチョロインだよな。


 アリスは赤くなった頬に手で仰いで風を送っている。


「ま、まあ、そんなことはどうでもいいのです。それよりも!!なんで勝手にあっちこっちぶらぶらするんですか!!私達は仮にもパーティー仲間じゃないですか!!さらには私とメディーに関しては一緒に住んでいるのに、なんで、何も言わないで出かけたりするんですか!!」


 なんか、こいつめんどくさい彼女みたいなことを言い出したぞ......もしくは小学生をしかりつける母ちゃんみたいだな....。


 俺はアリスの勢いに気後れしながらも反論する。


「別にいいだろ。確かに俺達はパーティー仲間かもしれないが、俺は冒険者を副業としてやろうって決めたんだよ。だから俺は、メインパーティーの仲間ではなくて、サブ仲間として扱ってくれ」


 俺がそういうと、アリスは下を向き何も言わなくなってしまった。


 微かにふるえている気がする。


 それが、怒っているのか、それとも、悲しんでくれているのか、実はあきれられているのか、俺にはわからなかった。


 そんなことを思っていると、アリスが下を向いたまま、ぶつぶつとつぶやくような声量で話し始めた。


「そういえば、だいきの新しい仕事の内容を聞いていませんでしたね。それってどんな仕事なんですか?」

「........」


 やっべー.....言い訳をなんも考えてなかった~。


 俺は一歩、また一歩と、後ろに下がって......


「......逃がしませんよ!!だいきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!1」


 俺は追いかけてくるアリスから必死で逃げることにした!!



 *

 *



「ってなことがあったわけなんだが....」

「それって、お兄さんが、おバカなだけじゃあないの?」


 そんなわけねえだろ。あの時は逃げてなかったら大変なことに......なってない未来もあったかもしれねえ気がするような気もしなくもないが........。


「ま、まあ、ということで、俺は今家に帰れそうにない。家に帰ったらアリスに何をされるか......というわけで俺は泊めてくれる家を募集中です」


 シェリーは、『はあ....』とため息をついて、こっちにジト目を向けてきた。


「まさか、そんな理由でここに来るとは僕も思わなかったな......。一応、僕も女の子だから、お兄さんがいるってだけで、少しだけ警戒しちゃうんだけど」


 いや、何言ってんの?俺がお前みたいなガキに手を出すわけねえだろ?


 何ちょっと、顔赤くしてもじもじしてんだよ。なに、そんな乙女みたいな反応してんだよ。おまえ隠れてガチのエロの本なんか書いてるくせに。


「この言葉を言うのは何度目か分かれねえが、俺はロリコンじゃねえからな」

「......前から気になっていたんだけど、お兄さんっていったいどんな交友関係築いてるの?もしかしたら、ロリっ子に好かれる呪いでもかけられているのかもね」


 そんなわけねえだろ。俺にそんなものがかかってるわけ......あの女神ならできなくもなさそうだが.....大丈夫だよな?そんなひどいことしてないよな?


 俺が、女神さまに初めて会った時に言った言葉に今更ながら後悔していると、入り口のドアががたんと開いた。


「いらっしゃい....ってなんだ、シェリーじゃないか」

「ちょっと今日は急ぎの用があって!!....って、あんちゃん!!大変だよ!!」


 シェリーが勢いよく入ってきたかと思うと、今度は俺に詰め寄ってきた。


 俺は若干気後れしながらも、反応をシェリーに返す。


「な、なんだよ....」

「この街の危機かもしれない!!」


 なんで、俺は街の危機ってものに2度も出くわすのだろうか..........。


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