第10話侵入開始いいいいいいいい!?part2


 俺とシェリーは少しずつ屋敷に近づいて行き、目視で見張りの兵士が見える程度まで来た。離れた位置から見て、大体十人程度くらいの人影が見える。


 シェリーのうなり声が横から聞こえてきた。


「う~ん。正面からは難しいな。とりあえず裏を見てみないと。あんちゃんもそれでいい?」

「まあ、それが妥当だろうな」


 さすがに、この人数を突破するのは難しいんじゃねえか?....まあ、無理やりでもいいならできなくもないが。


 俺達は気づかれないように、ゆっくりと裏に回って行った。屋敷の裏は俺の背丈を軽々超える壁で囲まれおり、その周りには2人の見張り兵が何か話しながら立っていた。


 笑い声が聞こえてくるくらいだから、かなり気が緩んでいるのだろう。


 シェリーは懐から時計を取り出し時間を確認した。横から覗いて見ると、11時50分過ぎ位をさしていた。ちなみに、この世界の時間は、日本にいた時とあまり変わらず、午前のことを日刻、お昼くらいを陽刻、夕方以降を月刻というそうだ。


 シェリーが時間を見てニヤッと笑い、時計を懐に入れて俺に耳打ちをしてきた。


「あんちゃん、チャンスだよ。12時から見張りの交代が始まって、30分は戻ってこない。その間にこっそり侵入するよ」


 そこから少し待っていると、一人の男が見張り兵の2人に声をかけ、そのまま、全員歩いて行ってしまった。


「よし、行くよ」


 俺達は見張りに気づかれないように、こっそり壁に近づいた。


 壁にはへこみなど一つもなく、簡単には登れそうにない。


「おい、どうすんだ?」


 俺がシェリーに尋ねてみると、腰に下げているポーチから何やら物に引っ掛けるようの金具がついているロープのようなものを取り出した。


「これは、こういう高い場所に登る時に重宝する盗賊のアイテムさ。これを使うよ」


 そう言うと、ロープをぶんぶん振り回し、ひょいっと投げて、壁の奥にあった木の枝に引っかかった。


 シェリーがロープを引っ張ってみて、外れないのを確認すると、ロープを使いながら、壁をよじ登り始めた。


 俺も後に続いたのだが......


「きっちいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 よく、こんなの登れたな!!これでも、多少は俺もレベルが上がって本当にわずかだが、筋力値も上がったのによ。


 俺がやっとのことで、登り終え、木の下で待っているシェリーを見ると、シェリーもこっちを見ていた。だからなんだよ、そのへんてこりんな生物を見る目は。


「あんちゃんって、盗賊だよね?なんで、身軽じゃないの?盗賊っての嘘なんじゃないの?」

「知らねえよ。なぜか、俊敏以外なかなか上がらなねんだよ」


 そんなことより、ようやく侵入することが出来たな。


 俺達の今いる場所は、この屋敷の敷地内の中のいわゆる庭園ってやつだろう。


 そして、目の前には屋敷があり、いくつも窓がついている。


 どっからも侵入出来そうだが、どこからいけばいいのだろうか?


「なあ、シェリー?どこから探すんだ?」

「あのさあ、あたしも忘れてたけど、あたしはアルセーネで、あんちゃんは、ワソトンだからね。........そうだな、今回は......」


 そういえば、そうだったな。


 このことを忘れてた人は、ぜひ、もう一度前の話を見てみてくれ。作者が喜びます。


 そんなバカなことはいったん置いといて、まあ、俺も何も知らないわけじゃない。こういう時は大抵、ああいう場所にあるもんだ。


「ここは、上の階だな!!」

「地下かな」


 おい、何言ってんだこいつは?


「大切なものっていったら、上にしまうだろう?俺がそうなんだから」

「あんちゃんこそ、何言ってんの?こういう時は地下だよ。なんで、いかにも、取ってくださいって場所に置くの?地下の方が合理的だよ」


 そんなとっても、大切なことで(当事者の2人は真剣です)言い合っていると、


「なんだ?ここから声が聞こえなかったか?」

「そうですかねぇ?でも、なにか聞こえてきた気がしますねぇ」

「そういえば、アri」


 俺達は急いで、屋敷に侵入した!!




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る