第5話冒険者やめますうううううううう!?
ちゅんちゅんと、鳥のさえずりが聞こえる。朝露に濡れた俺の顔の上を黒い影が覆った。
「だいき。今日は久しぶりにクエストを受けるという話だったじゃないですか。早く起きてください。ラーシが泣きますよ」
なんだか、悪魔....じゃなかった、アリスの声が聞こえるな....
俺は目をこすりながら顔を上げた。
「なんだよ。クエストだって?」
アリスがため息をついたのが少々イラっときたが昨日のことがあるので今日は不問にしといてやろう。我ながら心が広いと思うなあ。
「早く着替えてきてください。今日は何のクエストにするか決めてないんですから」
ええ~めんどくさいな。いいじゃん。大金入ったんだし。
そんなことを考えていると、メディーも俺のとこまで来たようだった。
「ダイキィ。今日くらいはまじめに働きましょうよぉ。....でないと、昨日みたいな目に遭いますよ」
俺は一瞬の間もなく立ち上がり持ち前の俊敏さで準備を終わらせた。
「よし!!行くか!!」
ちくしょおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!めんどくせえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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「遅いぞ!!いくら待ったと思っているのだ!!」
なんか、ラーシが激怒してんだが....
「そんなこと言ったて、時間はあんまりすぎてないじゃねえか」
「そ、それはそうだが....」
ラーシが急に口ごもる。いや、本当になんだこいつがキレてたのか、マジ分かんねえんだが....
すると、アリスが可愛い子を見るような目になって、ラーシの頭をよしよしと撫ではじめた。はたから見ると、子供がじゃれてるようにしか見えないんだが....
「ラーシは寂しかったんですよね。私達だけ一緒に住んでるのに、自分だけ仲間外れだって。大丈夫ですよ。私達は仲間です」
「そ、そんなことは....あ、あまり思ってない」
なんか、よくわからんが、機嫌が直ったみたいだからまあいいか。
そう、俺が一人納得していると、メディーが手をビシッと挙げた。お決まりの白衣?がバサッとたなびいた。
「それより今日はどんなクエストをするのですかぁ。私的には新作のポーションをいくつか試したいのですがぁ」
そういえば、こいつのポーションとやらは、どうやって作っているのだろうか?
すると、こっちに向き直したラーシが困ったような顔をして、
「そのことなんだが、今日は依頼でな。なんでも、貴族だけを狙った盗賊がこの街近郊に出没し始めたそうなのだ。と言ってもそれを私達が調査するのではなく、襲われそな貴族の護衛を依頼されたのだが....」
なんだよ、護衛依頼かよ。そんなもん俺達がしなくてもいいだろ。せめて冒険とかならまだやる気が出るのによ。
「まあ、そんなわけで今から一番狙われるのではないかと思われる貴族に家に向かうのだが....」
そう言って心配そうに俺達を見た。そんなこと言われも俺達の意見は最初から決まってる。
「「もちろんいいですよ(ぉ)」」
「 行くわけねえだろ」
3人がこっちをすごい目で見やがった。いや、なんて目で俺を見てんだよ。
「ちなみに、俺冒険者を本業とするのはやめようかなと思ってるから。そのクエストはお前たちで行ってくれよ」
「「「ええ!!」」」
それだけ言い残して、俺は持ち前の俊敏性で逃げることにした。
なんで、あんなこと言ったかって?それは、昨日の帰り道にまで遡る。
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