第4話アリスの本気いいいいいいいい!?


 俺は、ホクホク顔で2人のところに戻ると、ちょうどいろんな物を買ったらしいアリスとメディーが待っていた。


「どこ行ってたんですか?だいぶ待ったんですけど」

「そうですよぉ。....結局欲しかったものは何も買ってくれなかったですけどぉ....」


 そう言って二人とも、ジト目でこっちを見てきた。

 そこで、アリスは俺の持ってるものに気づいて、


「だいきは何を買ったんですか?見た感じ魔電じゃないようですけど」

「ふっ、男のせいかつには、絶対必要なものをちょっとな....」


 まあ、せいかつだしい。嘘は言ってないしい。

 もちろん。本にはカバーがかけられている。


 メディーが不思議そうにこっちを見ていたが大丈夫だろ。


 そう思って、俺は家に向かって歩き出した。


 そう、その時俺は気づくことが出来なかった。アリスがジッと俺の後ろ姿を睨んでいたことに....



 *

 *



 俺は夕飯を食べ終わると、すぐに部屋に戻った。


 もちろん。部屋に『開けるな!!』と書いた紙を貼り、誰も上がってくる様子が無いのを確認し、


「おっほ~!!楽しみだな!!」


 この世界に来て初めてのエロ本。向こうでは、インターネットでこっそり見るくらいだったが、この世界で見ることが出来るとはな。


「それじゃあ、さっそku」

「だいき、入りますよ」


 外からそう聞こえて、窓が急にガラッと開いた。

 そして、外からひょっこりとアリスがこっちを見ていた。


 なにげに、こいつが空を飛ぶのを見るのは初めてだな....

 って、そんなことよりも!!


 俺はすぐさま本を背中に隠した。


「おい!!開けるなって書いてあっただろ!!」

「さあ?私外から来たのでわかりませんね」


 こ、こいつ!!


 そして、窓を乗り越えて部屋に入ると、俺を怪しむような眼で見てきた。


「で、何をしてたんですか?」

「べ、別になんだっていいだろ」


 俺はこっそり俺の持ち物を隠密化上昇のスキルで隠した。普通はこんなことできないらしいのだが、俺の数少ない才能かもしれない。


「ほ、ほら。なんも隠してないだろ」

「ふ~ん」


 アリスはあたりを見回した後、自分の周りに魔法陣を生み出した。


 部屋の中で魔法陣を生み出したことで、部屋中に風が吹き荒れるている。


「おい!!何する気なんだよ!!」

「神の力を私に!!超特殊能力解除ブレイクスキルグレーター!!」


 そう唱えると、俺がせっかく隠しておいた本があたりに散らばった。

 ま、まずい!!


 アリスはそれらを一瞥すると、俺に何処かで見たことのあるスクロールを向けて、


「スクロール発動」


 そう唱えると、俺を黒い靄が囲み音も周りも何もかも分からなくなった。


 ≪10分後≫


 ようやく、解除してくれたアリスはこっちを笑顔で見ている。


「だいき。あの本はメディーが作ってくれたHCLHF完全腐敗酸性ポーションというもので溶かしてもらったのでもう大丈夫ですよ。


 文句の一つくらい言ってやろうと思ったのだが....


 マジ怖い!!ロりっ子の見た目なのにマジ怖い!!天使のはずなのに、後ろからガチでどす黒いオーラ―が漏れ出てる!!部屋の外からこっちを見てるメディーも真っ青な顔でこっち見てるマジ怖い!!


「女の子が住んでる家でこんなものを持ち込むのはいけないことですよね。......もし次持ち込んだら、オマエノダイジナ部分、トカシマスヨ?」

「は、はい....」


 もう、何も言えなくて俺はとぼとぼと部屋を出た。


「あ、あと今日は外に布団が置いてありますから、そこで寝てください」


 これにはさすがにキレようかと振り返ったら、


「何か文句でも?」

「な、ないっす....」


 どす黒いオーラ―から赤黒いオーラへと変化していたアリスを見た瞬間、


「これが種族の違いか....」


 そう、感じてしまった。


「ん?」


 そういえば、アリスの後ろにリズがおふざけで入れた『ロりっ子との夜の密会♡悪い子はお仕置きしちゃうぞ♡天使の女の子と夜の特別授業♡』が残ってあった気がするが....


「まあ、気のせいだよな....はは....」


 もう、何もかも忘れることにした。

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