第2話マイルームでええええええええ!?


 アリスをどうにかなだめた後とりあえず俺達は、家の掃除から始めることにした。


 俺は汗が流れる額を手で拭いながらなんとなく懐かしい気持ちになっていた。


「ふう~。こんなにも一生懸命掃除をしたのはいつぶりだったかな」

「なんだ、ダイキは掃除などしなくてもよい環境に住んでいたのか?」


 ラーシがものすごく意外そうな顔でこっちを見ながらそんなことを言ってきた。


 俺が引きこもっていた当時は基本はルンバか窓を開けての換気あとは汚れたらティッシュでふき取るくらいだったか。


 ....ティッシュの必要性はこの世界に来てメチャクチャ身に染みる思いがあるもんな。


 この世界は意外な所に技術の発達がみられるくせに、紙はあんまり発展してないもんな。


 そんなことを考えながら、掃除をしているとあっという間に時間が過ぎた。もうすぐ日が暮れるな。


 そう思っていると、布を絞り終えたラーシがうーんと伸びをしながら立ち上がった。


「私はそろそろ家に帰るとしよう。....いいか、ふたりとも。もしダイキに何かされそうになったら私に言うんだぞ。宿では声でばれるがこの辺りは家はそれほど密集してるわけではないからな。たしか、コンスイ?プレイなんてのもあるらしいからな」

「だから俺はロリコンじゃねえから!!あと、今度お前が呼んでる本ちょっと拝見させろください!!」


 まったくあいつはまだ俺のことを信用してねえのかよ。


 ....あいつが本を見せてくれるのならこのことは不問にしといてやろう。


 アリスも『そうですね』と言ったので今日はお開きとなりラーシは帰っていた。


 俺たち3人だけになると、とりあえず部屋分けをしようということになった。


 この家はそこそこボロイが3人が住むのには問題のないくらいの広さはあり、玄関のすぐ左手にリビングがあり玄関の真正面には階段があって2階には部屋が4部屋ほどある。


 とりあえず、一人一部屋ずつ使うことにし残りの部屋には冒険者としての道具を置くことにした。


 ある程度この家での生活の話し合いが終わると、俺は手をパンっ!!と叩いて、


「それじゃあ解散!!」


 すぐに自分の部屋に直行した。



 *

 *



 引きこもりにとって、自室とは聖域である。自室では机の上に足を乗せたり、ぶつぶつ独り言を言ってみたり、家族には言えない秘密のことをしたりすることが出来る唯一の場所だからである。


 だから、俺は備え付けてあったベットを最高の位置に配置し、今はゲームなどが無いから少し物足りないが机や棚の位置まで完璧な布陣を敷いた。


 そして、今日はもう遅いから寝ようとなっていたので早速ベットに入ろうとしたのだが........


「おい、なんでお前がここにいるんだよ」

「......」


 俺の目の前にはアリスが羞恥で顔を赤くして立っていた。


 こいつは何のつもりなのだろうか。あれか?夜這いというやつなのだろうか?あれは二次元だけのものだと思っていたのだが、いざ体験してみるとドキドキよりも不信感のほうが勝るな。


「あの、本当に恥ずかしいことではあるんですけど....この部屋にベットを置くことは出来ないでしょうか....」


 そんなことを顔を真っ赤にし俯きながら言ってきた。


「なんでそんなことするんだよ?大体なんで俺の部屋なんだよ。メディーの部屋でもいいだろうが」

「最初に確認してみたのですが....あの子普段はベットを使わずその辺で布団にくるまって寝るし、なにより怪しげな薬品や醸造台などでベットを置くスペースなんかなかったんです....」


 まあ、あいつらしいっちゃ、あいつらしいが....


「てか、なんでベットなんだよ?それじゃあお前ここで寝ることになるじゃねえか」

「わ、私最近はみんなで寝ていたので、一人で寝るのが怖くて....だいきお願いします....」


 お、おい。そんな涙目でこっちを見るなよ....


「分かった、分かった。置いていいから泣くなって」


 そう言うとアリスは顔を上げ涙をごしごしと拭うと笑顔になってくれた。


 あ~あ。俺の大切な聖域が。これじゃあ、宿じゃできなかった夜にやるあれやこれやが出来ねえじゃねえか。


 まあ、別にいいか。


 俺が引きこもりなのは元だしな。



 *

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