第二章 冒険者生活は飽きました......

第1話マイハウスうううううううう!?


 魔王軍魔のエンギルを討伐し、大量の金が俺達のもとに入ってきた次の日、俺は冒険者組合の中にある酒場に来ていた。


「そろそろ自分の部屋が欲しんだが」


 俺は唐突にアリスに相談をしていた。


 ちなみに、今この場にいるのは俺とアリスだけで、ラーシは手に入れた報酬で自分の装備を新調しに武具を選びに行っていて、メディーはポーションの材料を買いに行っている。....あいつは、どこでポーションの材料を買っているのかはちょっと気になるな。


 おっと、話がそれたな。俺がアリスに相談すると、アリスはうんうんと頷きこっちをニマニマしながら見てきた。


「そうですよね。だいきも男の子ですからね。分かります、分かりますよ。大丈夫です」

「おい、勝手なことを想像するな。間違ってないがそれ以外の理由もちゃんとあるぞ。俺は宿じゃリラックスすることが出来ないんだよ」


 日本育ち、さらには元引きこもりには自室という場所が必須なのだ。


「そうですね。でも、いくら報酬が入ったからといっても、いい家に住めるとは限りませんよ?」

「そんなことはわかってるよ。おい、アリス。今俺達はいくらくらい持ってんだ?」


 そう聞くと、アリアスが端末を確認しこっちにも見せてきた。


「ざっと950万スターくらいです。まあ、他にもいろいろなものに使うと思うので全ては使えませんが」


 どうなんだろうな。俺この世界の家の値段とか全く知らないしな。


「じゃあ、アリスに任せていいか?俺はこういうこと全く向いてないんだよ」


 そう言うと、アリスは薄い胸をエッヘンと張ってこっちを見てきた。


「任せてください!!私が出来るだけ良い家を探してきましょう!!」


 そう言うと外に走っていた。


 う~ん。やっぱりあいつに任せて大丈夫だったか?



 *

 *



 俺が酒場のお姉さんの尻眺めにも飽きてきたころ、アリスが走って戻ってきた。


「だいき!!見つけてきましたよ!!さあ今すぐ行きますよ!!」


 そう、興奮しながら俺に詰め寄ってきたアリスを引きはがしていると、ちょうど買い物を終えたであろうメディーとラーシが戻ってきた。


「お前たちは何をしているのだ?」

「というか、アリスはなんでそんなに興奮しているのですかぁ?」


 事情が分からないであろうふたりに説明すると、メディーは嬉しそうに、ラーシは少し不満そうにこっちを見てきた。


「いいですねぇ。これでようやく路地裏でポーションを作らなくて済みますねぇ」


 いや、あんな危険なポーションを路地裏なんかで作んなよ。


 そういえば、なんでラーシはちょっと不満そうなんだ?


「....私はお前たちと一緒には住めないないのだが....」


「「「あっ」」」


 そんなこんなで、4人で家を見に行くことになった。


 こいつの年相応の不満初めて聞いたかもしれないな。



 *

 *



 家の前につくとそれはもう、なんというか、古民家物件という感じの古そうな家だった。


 家の前にはこの世界で言う不動産屋さんらしき男がいた。


 男は自分の両手をコネコネ、クネクネこね回しながら俺達に聞いてきた。


「はい!!それではこちらの家700万円でお買い上げでよろしいでしょうか?」

「はい!!」


 アリスが即答すると、男は鍵をアリスに手渡し、アリスから冒険者ポイントを変換した金貨を数えると、ニッコリ招き猫のような顔になり笑顔で立ち去った。


 男が立ち去るとアリスがこっちをドヤァという顔でこっちを見てきた。


「どうですか!!私が探すとちゃんと良い物件を見つけることだってできるんですよ!!」

「いや、お前がいいならいいんだが....」


 アリス以外の俺達はみんなこう思っていただろう、


「「うわ、クソ物件」」


 おっと、声に出してしまったか。いけない、いけない。


 アリスが俺の横で時が止まったかのように固まっていた。



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