第17話作戦開始いいいいいいいい!?


 5日後、俺達は森の奥にある館の近くに来ていた。この5日間俺達は装備を整えたり相手の観察をしたり、情報収集をしたりと出来ることはすべてやってきたつもりだ。


 作戦の確認をしようと全員で集まって円を作っているのだがアリスが手を挙げてこっちを見た。


「あの、ダイキの作戦に異論はありませんが、あの時少しだけかっこいいと思った私に一言謝ってください」

「そんなこと言っても正攻法じゃ倒せるわけねえだろ。じゃあ、作戦通り、お前ら頼むぞ」


 そう言ったのだが、3人はジト目を返すだけだった。



 *

 *



 ふむ、今日が約束の日だったか。結局誰もこの館に来る者はいなかったか。


「はあ、この5日間ただ暇だったな。外で紅茶を飲んだり、モンスター狩りをしてみたり、いろんな暇つぶしをしてみたが特にグッとくるものはなかったな」


 わたしはゆっくりと大広間を出て、館の前に低位のアンデットを召喚した。


 この街の人間程度なら低位のゾンビやスケルトンなんかを永遠と送り続ければいつかは滅ぼせるだろ。


 あ~あめんどくさい。魔王様から命令されたとはいえなんでこんな雑用を....正直言って指揮官ってなんだよ。わたしはただ、アンデットを大量召喚出来て、魔法なら完全に防ぐ障壁がはれるだけなのにな~。早く帰りたいな~。


 おっと、早く指示を出さねばな。


「アンデット達よ。街へ侵攻し町の住民を皆殺しにするのだ!!」


 そう言うとわたしの指示を理解したアンデット達が街へ進み始めた。


 ふむ、およそ1000体ぐらいか。さてあとは何をして待とうか....


 入り口に飾りでアンデットを見張りに置き、館へ戻り大広間にある玉座に座って待っていると、妙な光が足元から、いや館全体を取り囲んだ。


「これは!!亡者たちの地獄アンチアンデットインフェルノではないか!!こんな魔法を使えるほどのものがいたとは!!」


 しかし、これは中位のアンデットまでは消滅し、上位アンデットは弱体化する範囲魔法。このわたしには何の効果もない。


 その時、部屋のドアが勢いよく開かれ、3人の少女が勢いよく入って来た。


「なぜ、人間の子供がこんな場所に来たのだ?」

「私達は冒険者だ!!お前を倒しに来た!!」


 そう言って、一人の少女が剣をこちらに向けてきた。


 おお!!ほんとに冒険者が攻めてくるとは!!こんなことはいつぶりか!!


「よく来たな。さあ、わたしのアンデット達の餌食となるがよい!!上位アンデット召喚サモングレーターアンデット!!」


 そう言ってわたしは2体のアンデットを召喚する。


 1体目はアンデットナイト。こいつは剣と盾を装備した汎用性の高い上位アンデットだ。


 2体目はスケルトンウォリアー。こいつは2枚の巨大な盾を持つ防御型の上位アンデットだ。


 どちらも、さっきの魔法で弱炊化されているが問題ないだろう。


 そしてわたしもお決まりの魔法を使おうか。


絶対魔法障壁パーフェクトマジックウォリアー


 これを使っておればどんな魔法もこの障壁を貫くことはできないのでな。まあ、物理攻撃は防げんが....それはアンデットウォリアーに任せるので実質無敵なのでな。


「行け!!アンデットナイト!!あのもの達を殺せ!!」


 そう命令をすると剣を持った少女に一心不乱に向かって行った。


 さて、わたしはあの二人を狙うとするか。


炎の壁ファイアーウォール


 わたしが魔法を放つと同時に白い服を着た少女がなにやら小瓶を取り出し床にたたきつけた。


「我がマッドな力思い知るがいい!!CO2H2O対炎属性系魔法障壁ポーション!!」


 たたきつけた個所からなにやらミスト状の気体が飛び出しわたしの魔法をかき消した。


「ふむ、低位の魔法だとはいえあれを防ぐとはなかなかのものだな。ふっふっふ....たのしくなってきたな」


 あの剣を持った少女もアンデットナイトと互角に戦いおるし、対アンデット用の範囲魔法を放つことの出来るものもいるしとあながち馬鹿にはできんな。


「ふっふっふ....よいだろ。ここからは、本気でいかせてもらおu....?」


 足元になにやらあの少女が持っていたような小瓶が転がってきた。


「なんだこれは?」


 その後も同じようなポーションが玉座の後ろから転がって来て....


 玉座の後ろから黒い鎧のような物を着た男が飛び出してきた!!


「魔のエンギル!!これで終わりだああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


 そう言って鉄の塊のようなものをパンパンと飛ばしてきた。


「ちっ、わたしを防げ!!」


 そう、大声で叫んだのだが、その塊はわたしにではなく足元の小瓶に当たり....小瓶が破裂し....わたしの障壁の中で爆発が....


「なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!」


「「「バッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンンン!!!!!!!!!!!!!」



 *

 *



 わたしが目を覚ますと目の前に忌々しい神族の女が笑顔で立っていた。





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