第15話魔王軍んんんんんんんん!?


 俺達は街でのアナウンスを背に受けながら正門へ走っていた。


「魔王軍襲来!!魔王軍襲来!!住人の皆さんは直ちに屋内に避難してください!!繰り返します!!魔王軍襲来!!魔王軍襲来!!」

「おい!!いったいどうなってんだ!!」

「分かりませんが、緊急事態なのは間違いないですね」


クソ!!何でこんなについてないんだか!!


俺達が正門についた時には冒険者が大勢集まっていた。


正門の奥にある小高い丘の上には、黒いローブを身にまといヤギの頭を持った魔法使いが立っていた。その周りにはゾンビやスケルトンが数十体取り巻いている。


ヤギ頭の魔法使いがなにやら大声で話し始めた。


「きけええ!!愚劣で愚かな人間どもよ!!わたしは魔王軍アンデット総司令官、魔のエンギルである!!このわたしが、魔王様に代わりこの街を滅ぼしに来たのだ!!感謝するがよい!!」


この街を滅ぼしに来ただって!!冗談じゃねえ!!なんで、転生したばっかでこんなことに巻き込まれなくちゃいけねえんだよ!!


「およそ1週間前になにやら忌々しい光る物体がこの街に落ちたそうだ。その調査のついでにせっかくなのでこの街も滅ぼすことにしたのだ」


なんだよそれ!!とんだとばっちりじゃねえか!!


「だいき!!もしかしたらそれは私達のことかもしれませんよ!!正確には私ですが....この世界に降り立った直後はまだ天使としての力がだいぶ残っていたので....魔族と神族はかなり仲が悪いので目をつけられたのかもしれません....」


ショ、ショウガナイナ〜....。オレタチガマモッテヤルカ〜....。


そこで、エンギルがこちらを目を細めながらジッと見つめた。


「ふむ。なんだか忌々しい気配がするような気がするが....まあよい。きけええ!!冒険者どもよ!!このアンデット達は5日後この街を滅ぼす!!街を滅ぼされたくなければ決死の覚悟で挑んでくるがよい!!それではな」


そう言って立ち去ろうとしたが、数人の冒険者がエンギルに立ち向かって行った。


「誰が逃がすかよ!!ライトニング!!」

「ポイズンスプラッシュ!!」

「フレイムウィンドウ!!」


3つの魔法がエンギルに向かって行ったが、エンギルは慌てる様子もなく魔法を唱えた。


絶対魔法障壁パーフェクトマジックウォリアー


そう唱えると、エンギルの周りが薄紫色の球体に包まれた。そして魔法がその球体に触れるとすぐにかき消えてしまった。


「ふん。この魔法の障壁はどんな魔法も通さんよ」


そういって、魔法の障壁を一旦解除しこちらに向き直った。


「それでは今度こそさらばだ。わたしに正面切って戦いたいのであれば森の奥にある館に来るがよい。テレポート」


それだけを言い残し、辺り一面何もなかったかのごとく完全にかき消えた。


そして、その場を静寂だけが支配していた。





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