第14話借金んんんんんんんん!?
クエスト失敗の後、俺達は受付に呼び出されていた。
受付のお姉さんが苦笑いの表情でこちらの様子を伺うようにしていた。
「ええと、今回のクエスト失敗の分と壊した馬車の額を合わせまして、100万スターになります。こちらを受けとりください」
そう言って俺達の端末に赤い字で25万という数字が刻まれた。
「一応普段どおり買い物はできますが、期限までに返済しないと国のケイサツが取り立てに来ますのでなるべく早めに返済してくださいね....」
そう言って引きつった笑みを浮かべた。
「はい....」
何も言えない俺達の中でアリスだけが返事をした。
*
*
俺達は酒場の席で全員が円を作るようにして座っていた。
「おい、どうしてくれんだ」
俺達全員がメディーに目を向けたのだが、当の本人は全く反省する気がない様子で、
「我の力で撃退できたのでよかったのではないですかぁ」
そう言ってまだ成長のかけらもない真っ平ら胸を張っている。
子供とはいえ、あまりにも腹が立ったので少し脅してみた。
「そうだなあ、それじゃあこの借金も全部お前の手柄だなあ。返済、頑張れよ」
そう言ってやったのだがメディーは逆にニヤリと笑い、アリスは何かに気がついたように顔色を青くした。
「そうですかぁ。それじゃあこの借金は全部アリスの物ですねぇ」
「どういうことだ?」
「だってアリスは寝床もない、お金もない時の我に言ったんですぅ。家もお金も提供してあげるとぉ」
なるほど、こいつ意外と頭がキレてやがる。本当に10歳か?
「まあ、そんな口約束誰が守るかってんだ。自分で返しな」
そう上から見下ろしながら言ってやったら、徐々にメディーが涙目になって、
「わ、わたしを、ひとりにしないでください....」
ば、ばか、そんな、涙目になってまでそんな事言うなって、さすがに罪悪感が湧いてくるだろ....
「わかった。わかった。全員で払おう。まあ、クエストの失敗は全員の失敗だしな」
そう言うと、目もとの涙を拭いて、
「うん!!」
年相応らしい、屈託のない笑顔を浮かべた。
まったく、まだまだ子供だな。俺はメディーの頭をなでなでする事にした。
「上手く涙目を使い我口調まで変えるとは、伊達に天才を自称するだけはありますね」
「あ、あれが書物で見た悪女というやつなのだろうか....」
なんだか後ろでひそひそと声がするんだが....まあ、いいか。
それにいくら借金があるとはいえこれ以上ひどい事にはならないだろ。
なんだったけ、下まで落ちたら後は上がるだけだったか?多分それだ。だから大丈夫だろ。
「さあて、どうしたもんかな」
俺なりに考えてみたが....こういう時はやっぱりアリスだな。
「なあ、アリsu」
アリスを呼ぼうとしたその時、
慌てた様子のクエストの受付嬢が横を通り過ぎたり、武装した冒険者らしき人物が走っていくのが見えた。
そして、それぞれの端末が一斉に鳴り出し俺達はそれに目を奪われた。
聞こえてきた声はいつもお世話になる受付嬢の声だった。
「緊急!!緊急!!魔王軍らしき人物の襲来です!!繰り返します!!魔王軍らしき人物の襲来です!!冒険者各員は至急正門の前に集まってください!!」
........
「なんで、こうなるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!」
ほら、現実なんてこんなもんだもん。
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