第13話護衛依頼いいいいいいいい!?


 俺とアリスは二人で酒場に集まっていた。

「おい、お前どうしてくれんだ」

「....すいません」


 アリスは俯きながらそう呟いた。


 そう、昨日こいつが一人で高級酒をがぶがぶ飲んだせいで、せっかく手に入れた昨日の報酬がほとんどなくなってしまった。


「ほら、周りの奴らを見てみろよ。みんな引いてるぞ」

「....すいません」


 もう一度俯きながらもう一度呟いた。


「あ~あ、ほんとにどうすんのかな~これ。俺達がぁ、せっかくぅ、ためたお金がぁ、パーになっちゃったんですけど~。そりゃあさあ、止めなかったぁ、俺達もねぇ、悪かったんだけどぉ、さすがにねぇ」


「....すいません」


 俺は上から見下ろしながらねちねちせめてやったら、


「....ぐす....ほんとうに....すいま....せん」


 下を向きながら泣き出してしまった。

 

お、おい、ちょっと言い過ぎたとは思うけど、泣くなって....。


「お、おい、悪かった。悪かったって。さすがに言いすぎたな。ごめんな」


 そうやってアリスを慰めながらおろおろしてると、


「ねえ、見て。あのクズ男。あんなに小さい子をパーティー仲間にしといて、ねちねち文句言って泣かせてるわよ」

「最低ね。きっと、友達もいないからあんなに小さな子を無理やりにでも、パーティー仲間にしたのね」


 近くにいたウエイトレスがひそひそ話をはじめた。

 

おい!!マジで早く泣き止んでくれよ!!


「大丈夫だって。そ、そうだなんかいいクエストは見つかったか?」

「....ぐす....はい。最近弱いモンスターがなかなか出現しなくなって強いモンスターの討伐しかなかったのですが....護衛依頼で私達に指名の依頼があって、あまりモンスターも通らない森林の道の護衛任務だそうです。かなり大きな商人の護衛なのでかなりの高額報酬になるかと思います。....私の分はお酒の分にあてていいので....」


 やっべー。こいつ意外とメンタル弱いのか。アリスがまた俯いてしまった。


「だ、大丈夫だ。まかせろ!!とりあえず今日はアルバイトで何とかするからな、大丈夫だからな」

「....分かりました。私も....頑張って働きます」


 それを聞いたウエイトレスは俺をその辺のごみを見る目で、


「あの子に水商売でもやらせる気よ、あのクズは」

「いやちげえから!!」


 そう、この時はまさかあんな事になるとは思いもしなかった。



 *

 *



「それでぇ、今日は護衛の依頼ですかぁ」

「私達に護衛なんて務まるのか?」


 俺達は街の門の近くに止まっている依頼主の馬車の前に来ていた。


 ....馬車なのはファンタジーぽいのだがタイヤがゴムのようなもので出来てるのには目をつぶろう。


「おい、それを言うな、アリスが聞いたらどうすんだ。アリスは今かなり心にダメージを負ってるんだ」

「一体なんでなんですかぁ?」


 メディーが年相応らしく可愛く小首をかしげて聞いてきたが今の俺からすればハラハラして気が気でない。


 まあ、原因は俺なんだが....


 そこで、何やら商人と話していたアリスが戻ってきた。


「モンスターが出るまで馬車に乗ってもいいそうですよ。....なぜかだいきはだめと言われましたが」


 そう不思議そうに言ってきたが....絶対その商人ロリコンだろ。危険だな。


 そんなことを話していると商人の長らしき男が大声で俺達を呼んだ。


「では、冒険者のお嬢さん方、ぜひ乗ってください~」


 ふむ、小太りでちょび髭をはやしてなおかつ、鼻の下を長くしてるな。これはロリコンだな。



 *

 *



 馬車が出発してちょうど中間地点あたりまで到着した時、何やら大きな足音が聞こえてきた。


 すると、馬車から3人が飛び出してきた俺に駆け寄った。


「おい、今の音聞こえたか」

「はい、あの人ちょっと気持ち悪かったので、すぐさま飛び出してきました」

「そうですかぁ?我にはよくわかりませんでしたが?」

「あんな、破廉恥な言葉を....」


 アリスは気分が悪そうに、メディーは首をかしげて、そしてラーシは顔を真っ赤にして、それぞれがそれぞれの反応を示していた。


「ウガああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


 そんな雄たけびが聞こえてきたかと思うと馬車の前に巨大なフランケンシュタインみたいなモンスターが表れた。


 急いで馬車の前に立つとすぐさまそのモンスターと対峙した。


「おい!!どうすんだこれ!!」

「あのモンスター本来こんな場所にスポーンすることなんて滅多にないのだが....」


 そう言ってラーシが首を傾げている。


 クソどうすれば!!


 そう悩んでいるとメディーが俺の前に出て来た。


「任せてください!!我のマッドな力思い知るがいい!!必殺 C3H5N3O9ニトロポーション改!!」

「おい、バカそれha」


 辺り一面が爆発で吹き飛んだ!!

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