第2話 何者
まだ状況が把握できていないアンジェロを見て
クラウンは言った。
「あー。その顔はもっとお母様のこと。そして私のこと。魔界のことを教えてくれって顔ですね。」
アンジェロは窓の外を見ていたがくるりとクラウンの方をみて
「教えて欲しいのは僕が何者なのかってことだ!魔戦士ってなんだよ。僕はいたって普通だ。」
クラウンはまた笑った。
「本当にお母様はなにも変わってない。昔話になりますがいいですか?」
アンジェロは頷いた。
「君が生まれてまもなく、みんなでパーティーをしました。みんな奇術を使い喜ばせようとしたんですが、お母様はこの子の前で魔法は使うなと言いました。みんな不思議がっていました。何故って聞いたらこの子は普通の人間として育てると言いだしたんです。みんな驚きましたよ。大事な大事な魔人の子孫が生まれたのに人間のように育てるなんて。まるであの野郎みたいなこと言ったりして、、。」
アンジェロはあの野郎って?と聞いた。
「いやいや、こちらの話です。」
クラウンはすぐ話を変えた。
「あなたは大事な戦士なのに。あなたみたいな人を普通にの人間として育てるにはもったいなさすぎます。」
アンジェロはむすっとして言った。
「僕をモノみたいに言うな!僕は戦力なんかでもないし戦士でもない!ただの男の子だ!これ以上はやめてくれ。もううんざりだよ。」
クラウンは驚いた顔をした。
「もうお母様の話はいいんですか?こんなに面白いのに」
アンジェロはなにも言わなかった。
すると急ブレーキを踏んだ。
「さぁ、着きました。ここが我が家であり基地のです。さっ降りて降りて」
アンジェロはそっぽ向いたままだった。
「なんでこんなところに連れてこられたんだ?って顔してますね。」
アンジェロはクラウンの顔を見て言った。
「母さんは一緒に暮らせなくなったって言ってた。理由は聞かなかったけど、こんなとこに連れてこられるなら母さんと暮らしてる方がマシだ!」
クラウンは困ったなという顔をした。
「こんなとこって言っても悪くないですよ?アイスだって食べ放題だし、、。」
アンジェロはぼそぼそ呟くように話した。
「なんで母さんと暮らせないの?」
クラウンは言った。
「正直に言いましょう。君のお母様が決断した。
私たちと共に暮らし、魔法の訓練を受けるべきだとお母様が決断したんです。」
アンジェロは聞き返した。
「でも母さんは僕を普通の人間として育てたいって、、。」
クラウンは言った。
「そのお母様が決断したんです。この決断を無駄にはできないんです。あなたみたいな有望で力を秘めた魔人を育て上げないわけにはいかないのです。魔界の将来のために。」
アンジェロは黙り込んでいたがとうとうしゃべりだした。
「僕を必要としてくれるの?」
クラウンはにっこりした。
「そうです。あなたが必要なんです。私たちには!」
アンジェロは車から降りた。
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