星形って言うけれど………

 なぁ聞いてくれ。

 普通あるじゃん?こう言うラノベ的展開で必須のアレ。

 暴食チートとか鑑定チートとか魔力チートとかチートとかチート。


 俺のスキル欄結構凄いのよ。

 スキル欄を見てみればLRとURとSRの文字に目が止まる。

 LRとはレジェンドレア、伝説級のチートスキル。

 URとはウルトラレア、ウルトラ級のすっごいスキル。

 SRはスーパーレア、超級のすんごいスキル。


 ま、ぶっちゃけ今ラノベな展開なんだけどさー、普通あるじゃん?女神とか出て来てイチャコラしたり神とか出て来て上手い事言質とって想い通りのチートスキル貰ったりして胸熱!!みたいな。

 そう言う展開はなんかスキップされたのか無いんだけどさーー。


 フフフフフフフウフフ。


 フフフフ。



 思わず笑いが零れるぜ。

 声出せないけど。


 諸君!聞いてくれ!

 俺チート級のLRスキル三つも持ってるんだぜ!

 合体!覚醒!究極進化!!

 その内容は如何に!!

 年甲斐も無くドキドキするぜ。


 ドキドキ。



 行くぜ俺のチーーートスキル達!!


 スキル 合体 LR


 他の生物と合体する事が出来る。

 合体後は存在が昇華する。

 尚、物理的挿入は伴わない。


 お、おう。

 そっちの合体じゃ無いんだね。

 合体すると存在が昇華するんだ。

 ふーーーん。


 覚醒 LR

 合成時に合成元の能力限界を突破する。


 短っ!

 説明短くね!?

 つ、次、究極進化!!!

 これは期待できるハズ。


 究極進化 LR

 合成時究極進化先を選択出来る。


 俺のドキドキをかえせぇええええええ!!!!

 全部合成素材必須スキルじゃん!!

 これじゃ只の合成素材じゃん!!!

 でもチーーーート!!!

 俺、合成素材としてチーーーーーーーート!!!!

 俺と合体しちゃったら存在が昇華して能力限界突破して究極進化が出来ます!!

 チーーーーーーーーーーーッ!!!!!!


 これも合成素材として生まれた運命さだめか。

 よかろう、ならば俺も素材としてその運命さだめを享受しようじゃ無いか。

 魔王も喜ぶ素材界の王として君臨しようじゃ無いか。

 素材の王ユースケ。

 いや今日から俺は素王ニルバァーナだ!!!!




 乙。




 いや、なんだ素王って。

 素っ裸の王さまみたいじゃ無いか。

 威厳もクソも無い。


 と言うかこれは夢、夢オチ。

 そう、目が覚めたら攻略済みのMMOでひたすら素材ドロップを狙って沸き待ちするんだ。


 へへへ、今夜は乱獲してやるぜベイベー。


 ……。


 …………。


 ………………べいべー。


 無性にも太陽は俺の肌を容赦なく焼いてくる。

 何なら少し痛い。

 どうやら俺は紫外線に弱いらしい。

 だってほらこんなにも日に焼けて肌が真っ赤……………おっと、肌が赤いのは元からだった。

 でも痛いのは確かだ。

 なんだか肌がとてもヒリヒリするのだ。

 俺ってとってもデリケート肌。



 ん?夢オチはどうなったって?

 おいおい、馬鹿だな。

 現実ってそんなに甘くないんだぜ。

 異世界転生して生を受けたら、合成素材とかハードモードにも程がある。

 世の中そんな悲しい現実もあるんだぜ……………うぅっ。



 いや、まぁ、肌が痛いのはホントなんだ。

 ん?俺が痛いのは気にするな。

 

 ま、あれだ。

 ずっと言って無かったけど実は俺地面に寝そべってます。

 まだ身体の動かし方がよく分らなかったんだけど、どうやらそうも言ってられないらしい。

 何故って?

 このまま寝そべって居たら多分乾燥肌で干からびて死ぬって事と、後ずっと俺の視界の隅を黒猫らしき動物がちょろちょろしている。

 ステータス欄のHPが987/999と減少している事で俺が継続ダメージを受け始めてるのが分る。

 何処かで潤いを手に入れないとヤバい。


 俺、自分のステータスの特徴に星形とか書いてやがったし高速浮遊スキルとか持ってたから星のカー○ィー的な感じかなとちょっと思ってたけど違った、アレだ。

 海洋生物的な星形生物、所謂棘皮動物門ヒトデ綱ヒトデだ。

 そうヒトデ、英語で言えばスターフィッシュ。

 星は星でも海のお星様である。


 どうやら、そんな俺を喰おうとしている罰当たりな黒猫が居るようだ。

 だが俺も黙って喰われてやる訳にはいかない。

 何故なら俺も生きているから。


 うん、良い事言った。


 だいぶ俺も身体の動かし方が分ってきた。

 むくりと身体を起こす。

 俺の正面に黒猫を捕らえる、俺自身の大きさが何となく分る。

 黒猫より頭一つ背が高い程度。

 ステータスに書いてた45センチムって言うサイズ感は45センチって程度だと理解。


 そんな訳でにゃぁにゃぁ言いながら近寄って来た黒猫。

 その鋭い爪で俺を捌こうと言うのか?

 甘いな。

 これでも俺は一子相伝北東神拳の物語を全巻読破している。

 ゆっくりと俺は身体を斜に構え、すっとファイティングポーズをとる。


『来いよ、相手してやるぜ』


 出来るだけ渋めの声で俺は言ってやった。

 声出ないんだけどな。

 よって黒猫に通じたかは定かでは無い。


 

 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る