王太子アルフレッドsideストーリー3

  ギルドディアから少し離れた場所にある大森林の奥深く、アルフレッドはレオン連れてやって来ていた。その理由は


「正気ですか?この場所を彼女達に譲るなんて……」


レオンは無表情ながら、どこか複雑そうな表情でアルフレッドを見るが、当のアルフレッドは人懐っこいような笑みを浮かべ


「問題ないだろ。ここは一応王家が管理する土地だ。王太子である私が許可するんだからな」


アルフレッドは、王家が管理するこの大森林にあるとある場所をティファ達のパーティーホーム候補として使用させようとしているのだ。正直、王家の所有する土地を一冒険者に譲るのも問題だが


「しかし……本当にこのあるのですか?それが?」


レオンには、この大森林にあると言われている物の姿を見た事がないのだ。それを見た事があるのは、隣にいる兄と一緒にこの大森林で遊んでいた妹、マリーだけなのである。


「私の言葉が信用出来ないか?」


「まぁ、長い付き合いですから、貴方が嘘を言ってるかそうでないかは分かってるつもりですから……ですが、見えない物があると言われても、信じるのは難しいです」


レオンの真面目な意見に、アルフレッドは「それもそうだな」と呟いて納得する。が、レオンにはまだ思うところがあった。


「それに……彼女達が本当に貴方と同じ物が見えるとお考えで?」


1番の問題はそこだった。譲ろうとしている肝心のティファ達にソレが見えなければ意味がない。だが、アルフレッドはそれでも微笑みを浮かべ


「見えなかったらまた別の場所を紹介するさ。ただ、私は彼女達なら見えるだろうと確信しているよ」


「……その根拠は?」


「もちろん。私の勘さ」


悪戯っ子のような笑みを浮かべてそう言うアルフレッドに、レオンは額を抑えて溜息をつく。


  そんな会話をしていたら、2人は目的の場所に到着した。そこは、レオンにはただただ広い湖があるようにしか見えない。しかし、アルフレッドにはソレがハッキリと見えていた。


  湖の真ん中にそびえ立つ巨大な翡翠色の塔。それは、幾重にも魔法結界が張られ、この湖の近くまで来ないとその姿を拝める事が出来ない。更に、近づいても、塔そのものにも強い魔法結界が張られ、強い力を持つ王族か、強い力を持った冒険者しかその塔は視認出来ないという代物だ。


  そして、この塔こそ、かつて五大英雄がパーティーホームとして利用したとされる巨塔だった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る