大盾使いの少女のパーティーは王城に招かれる5

  王太子と契約を結び、後ティファが気になっているのは、どうやって自分が拐われたのか?と、何故ニールセンはあんな凶行に及んだのかぐらいである。それをまとめて質問したら、アルフレッドは1度紅茶を一口含んだ。


「まず、最初の質問に答えるなら、どうやらニールセンはアスファルト領の商業ギルドに登録している物に特殊な催眠をかけていたらしい」


元々、ニールセン自身も商業ギルドに加盟して、商業で今の領地を大きくした人物である。その為、彼が商業ギルドに加盟した者を連れて来て催眠をかけるのは簡単な作業だった。


「商業ギルドは、宿屋の店主等も加盟しているからね。ニールセンの催眠にかかった店主がティファ君達が寝ている間に領主屋敷に運んだらしい。おまけに、運ぶ時は運ばれてる感覚を阻害する魔法までかけられての用意周到ぶりだ」


まさかそこまでして自分達を運んだと思わずティファは驚愕する。しかし、ティファはニールセンと対峙したからふと疑問に感じる事もあった。


「あの……本当にそれはニールセン元伯爵が行ったんでしょうか?確かに、あの人は狂気じみていたけど、そんな事まで出来るような人には見えないんですが……」


ティファが質問を投げかけると、アルフレッドは何故か困ったような表情をした。が、すぐに溜息を一つつき


「まぁ、もうリッカ君とアヤ君は会ったのだし、いずれ知られてしまう事だから話すが、それらは闇ギルドの者による犯行だと思われる」


「闇ギルドって!?あの闇ギルドですか!!?」


  ティファも闇ギルドの事は知っているが、ティファも自然消滅したと聞かされているので、それが存在していると聞かされ驚きを隠せない。


「悪いが闇ギルドに関しては詳しくは話せない。これはエルーシャと相談して決まった事だ。まだ君達にアレらと関わらせたくない。例え、今回私達のせいで巻き込み関わらせてしまったとしてもね」


アルフレッドの真剣な表情とその言葉に、ティファは首を静かに縦に振った。これ以上は踏み込んではいけない。それがアルフレッドの表情から十分に読み取れた。


「ただ、これだけは言える。闇ギルドは、何年もの間ニールセンに協力し、これまで上手く立ち回りながら、あれだけの犯行をさせた恐るべき相手だ。今回は本当に私達のせいで関わる事になってしまったが、今後関わる事があれば、逃げるようにしてくれ。なるべく相手にはしないでほしい」


  アルフレッドの警告に、ティファ達は黙って頷いた。王太子であるアルフレッドが真剣に警告を促す相手だ。ティファ達ではどうにも出来ない相手かもしれない。実際に対峙したリッカとアヤはそれを十分に実感している。


「そして……何故ニールセンがこんな狂気じみた犯行に及んだかだが……それは昔、彼が幼い頃に誘拐された事が関係しているらしい……」


アルフレッドはそう言って溜息をつくと、紅茶を一口含み、ゆっくりとニールセンの過去を語り始めた。

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