大盾使いの少女のパーティーは王城に招かれる2
王太子アルフレッドに促され、ティファ達はアルフレッドと対面するソファに座る。正直、王太子アルフレッドと対面する高いソファに座るなんて恐れ多いと尻込みしたティファとアヤだったが、マリーとエルーシャ、それにリッカまでもが促され堂々と座るのを見て、ティファとアヤも互いに顔を見合わせ恐る恐る着席したのである。
「さて、今回は君達の知りたい事には全て答えるつもりで呼んだ。場合によっては答えられない物もあるが、それでも答えられる物は答えると、五大英雄様に誓って約束しよう」
五大英雄様に誓う約束は、普通の約束とは違う必ず守ると誓いをたてるものである。平民の間ではちょっと重いだけの約束の認識だが、王侯貴族がする物は固い約束で下手したら罰せられる程である。その知識を知ってるティファは動揺するが、それが王太子アルフレッドなりの誠意だと受け取った。
「では、まず何から聞きたいかな?」
いきなり王太子アルフレッドから聞きたい事を問われ、少し戸惑うティファだが、最初に聞きたい事は決まっていた。
「あの……被害にあった……女の子達やイエロースライム達はその後どうなったんでしょうか?」
ティファが1番気にしていたのはそこだった。なので真っ先にそれを聞いたら、何故かアルフレッドは目を見開いて驚いたが、すぐに苦笑を浮かべ
「まさか、先にそれを聞くなんてね。そうだね。イエロースライムは私じゃなくて……マリー。話してくれるかい?」
「……無事よ。貴方やあの狂った領主に会う前に屋敷に忍びこんで助けたから。粘液は取り出されたけど、あの子達の命である核は失われてなかったからすぐに助け出したわ。ただ、あの子達をあんな目に合わせた知って、頭に血が上って冷静さを失って、貴方に迷惑をかけてしまった事は謝罪するわ」
マリーは若干恥ずかしそうに謝罪の言葉を口にする。ティファは「気にしないで!マリーさんのおかげで私も助かったんだし!」と口にすると、何故かマリーはそっぽを向いて黙ってしまったので、まさか怒らせてしまったのではないか慌てるティファ。
「心配ないよ。ティファ君。彼女は照れてるだけだから」
王太子アルフレッドが笑顔でそう口にした瞬間、マリーはキッとアルフレッドを睨みつけるが、アルフレッドは特に気にせずサラッと受け流す。
「それと……被害に遭った女の子達は全員教会の協力の元石化を解いて、無事に家族の元に送り返したよ。ただ……」
そこで、アルフレッドは一旦言葉を止めた。出されていた紅茶を一口含み、軽く溜息を一つついた後
「あのニールセンは数十年も前から犯行を行っていた為、まだ、自分の娘が生きてると信じて待っていた者達も多くいたが、中には……娘の後を追って自殺した両親もいてね……」
王太子アルフレッドの言葉を受け場に重たい沈黙が流れる。確かに、どれだけ待っても帰って来ないとなったら、そう考えて自殺する両親がいてもおかしくない。
「まぁ……幸いと言ってはいけないが、そういった事例はごく僅かだったし、最初の頃はニールセンは孤児を狙って犯行を行った事もあり、最初から親族がいない子も多くいたよ。そういう子達は皆王都の孤児院と、西方アルテミス教王国の孤児院とで手厚く保護してもらう形をとれた。ちなみに、リッカ君が石化を解いた子は、まだ2、3年前に拐われた子だったから、両親も健在だったよ。無事にシャーリィーがその子を両親の元に送り届けたよ」
リッカは何も言葉にしなかったが、その表情は安堵に満ちていた。領主の罪を暴く為に石化を解いた娘が、そういった最悪の事例だったらどうしようかと、リッカは心の中で罪悪感が芽生えていたので、その報告で一安心出来た。
「かと言って、全て終わった訳じゃない。彼女達が本来得るはずだった時間は戻ってこないし、変わってしまった両親の姿に戸惑う子も多い。国としては引き続きその子達への心のケアをしていくつもりだ」
そう話すアルフレッドの姿は、まさに次期国王に相応しい姿だった。
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