???sideストーリー
フード目深に被った者が、同じくフード被った者3人に大きな箱3つを運ばせ、上客である男の自室の扉をノックする。数秒でその上客の男からの返事がきたのでフードを目深に被った者は何も言わず扉を開ける。
「まぁ、こんな時間に訪れるなんて貴方しかいないとは思ってますが、せめて誰かは名乗ってもらいたいところですね」
「すまんな。しかし、まだ起こす訳にもいかんのでね」
フードを目深に被った者は、箱を運ばせていた3人に指示を出す。3人は無言で箱を開けると、男はある箱の中にある一点を興奮気味に見つめていた。
「これはこれは……!?あの王太子の主催の決闘で一目見てコレクションに加えたいと思っていた少女ではないですか……!?流石に冒険者であるから手に入れるのは難しいと思っていたのですが?」
「偶然にも宿屋に若い女が3人泊まってるという情報があったからな」
男の疑問にフードを目深に被った者はそう答える。男はその言葉を受け、偶然の幸運に信じてもいない神に感謝した。
「しかし……他2人はいりません。何故連れて来たのですか?貴方なら私の好みは熟知しているでしょう?」
男は、他2つの箱に入ってるものを見て、先程から興奮気味で凝視しているものとは、あからさまに違う冷めた目でそう言った。
「この2人はそれの仲間だ。それで騒いで本格的に冒険者ギルドまで動き出したらマズイ。それに、あんたに興味がなくてもこちらには興味がある。我々が作った実験体を試すにはもってこいだからな」
「なるほど。そういう事ですか。まぁ、好きにして構いませんが、なるべくバレないようにさっさと処分してくださいね」
「心得ている」
フードを目深に被った者は一礼すると、男が要らないと言った箱を、再び運ばせ男の自室から退室した。
フードを目深に被った者が去ったのを確認した男は、再び箱の中を凝視して、口の端を上げて笑い舌舐めずりをする。
「くふふふふ……!いい……!実にいい……!コレクションが増えたこの瞬間は本当に堪らない……!!」
男は狂気じみた笑みを浮かべた後、箱の中のもの起こさないように慎重に自身のコレクションルームまで運んで行った。
そうとは知らず、箱の中にいるティファは未だにぐっすりと熟睡していた……
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