二章
大盾使いの少女は新たなメンバーの装備品の作製を依頼する
「という訳で……アヤはもう私達のメンバーとして色んな人に分かりやすく受け入れてもらえるように装備品が必要なの!」
「なるほど!勉強になります!」
「得意気に語ってるけど、それ全部私が教えた事よね」
ティファ達がアヤの歓迎会をした次の日の翌朝、ティファは得意気にリッカに教わった装備品の必要性をアヤに語り、アヤは大変感心したように目を輝かせ、リッカはジト目でティファを睨んでいた。
呪いの装備品を着ていたアヤは、リッカの『万物たる癒しの炎』によって浄化され消えてしまった。なので、今アヤが着てるのは、ティファ達が緊急で買った白いワンピースだけだ。と言うか、アヤは装備品が脱げなかった関係上、それしか服を持っていなかった。よって、これからアヤの装備品の作製を依頼しに行こうという話になったのである。向かう先は当然……
「やぁ、ティファちゃん。リッカちゃん。いらっしゃい。その子が新しいメンバーのアヤちゃんだね。初めまして。私がこの「ルボル」の店主兼鍛冶職人のコックルだよ」
最早、ティファ達にとって馴染みの店である、武具屋「ルボル」である。その「ルボル」の店主で鍛冶職人のコックルはアヤに挨拶の言葉をかわす。
「初めまして!噂はティファ達から聞いております!私は格闘家の……って!?ふわあぁ!?」
「スンスン……!うん!凄い!確かにこれは凄い匂いだ!」
「ひゃい!?そんなに匂いますか!?昨日はようやく呪いの装備品から解放され、しっかり丁寧にお風呂で身体を洗ったはずなのですが……」
昨晩は、アヤは念入りにお風呂で身体を洗っていた。いくら、装備品を着たままお風呂に入っていたとしても、身体は洗えなかっただろうし、彼女も年頃の女の子だからそういうのは当然気になる。だから、念入りに洗ったはずなのに匂うと言われたら焦るだろう。ティファとリッカは苦笑を浮かべアヤにコックルの鼻について説明する。
「どのステータスも非常に濃いけど、1番は攻撃力かな?もしかして……これは……リッカちゃんの魔力より濃いかな?」
「流石にいい嗅覚ね」
コックルのステータスを嗅ぎ分ける鼻の良さにリッカは苦笑を浮かべる。すると、コックルは早速アヤの匂いで創作意欲が湧いたのかペンを走らせている。
「あの……すいません……コックルさん。私の件でも忙しいのに……」
「あぁ、大丈夫大丈夫!装備品を作製するのは私の趣味みたいなものだからね!ただ、ちょっとティファちゃんの件は難航気味だから、先にアヤちゃんの装備品が出来上がるのが先になるけどいいかな?」
「はい。それはもちろん」
コックルやヒルダ的には、あの威力を保持したまま、被害を抑えて『シールドパニシュ』を使用出来る方法を模索している為、作製がかなり難航していた。なので、コックルは申し訳なさそうにティファにそう告げるが、ティファ的には自分が頼んでる立場なので、気にせず他のやりたい事に集中してほしいと思っている。最悪、ティファ的には『シールドパニシュ』を封印しても構わないと思っている。
「ありがとう。ティファちゃん。それで、アヤちゃん。装備品について何か希望はあるかい?」
「いえ、特には。頼む立場ですからお任せしますが……あの……強いて言うなら……動きやすくて軽いのがいいです……前の装備品は重くて動きにくかったので……」
「いや、それは呪いでステータスが下げられたせいでしょう」
アヤの言葉に、リッカは軽く溜息をついて言葉を返す。「タンクシューズ」を入っていなかった頃のティファは、素早さが0のせいで動きが遅かった。故に、アヤが動きにくいと感じるのも間違いなくそれが原因である。
「まぁ、それでなくても格闘家だから動きやすい装備がいいだろうね。分かったよ。希望通りの品を作らせてもらうよ」
「お願いします!あっ……でも……お金が……」
アヤは修練ばかり積んでいてまともなお金の持ち合わせがない。故に、装備品を作製してもらうだけの金額などある訳がない。
「大丈夫だよ!アヤ!ギルドポイントは余ってるからね!」
「うぅ……!?またご迷惑をおかけして申し訳ありません……!?」
「別にさっき言った通り必要な事だから迷惑じゃないわよ。それに、実際は私が払うべきだろうし……」
アヤの装備品を不可抗力とはいえ、消してしまい、あまつさえアヤに痴態を晒させる結果を作ったのはリッカである。その事を気にしてリッカは遠い目になる。
「あぁ、そのお代の事なんだけどね……3人に頼みたい依頼があってね。それを引き受けてくれる形でどうかな?」
コックルにニッコリ笑ってそう言われ、3人はお互いに顔を見合わせ3人揃って黙って首を縦に振った。むしろ、依頼を受けるだけでコックルの装備品を貰えるなら安いぐらいだ。
ただ、依頼内容はアヤの装備品の良し悪しを確認する為にも、3日後の装備品作製が終わった頃に改めて話すと言われ、3人はコックルにお礼を言って店を出た。
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