大盾使いの少女の決闘のその後
ティファとガブリィの決闘から3日が過ぎた。
あの後、ティファは目覚めたら自分の控室のソファに寝かされている事に気づいた。ティファは自分が負けてしまったのか?とそう思って確認する為に起き上がったら、控室には幼馴染のリッカがいて、リッカが苦笑を浮かべながら試合結果と詳細について説明した。
ティファは自分が勝利した事に安堵したものの、自分の勝利した時の様子を聞かされ、顔が真っ赤になり、リッカの予想通り、ティファは一日中「山猫亭」の自分達が寝泊りする部屋に引きこもってしまった。
そして、リッカのフォローが功を奏し翌日にティファはリッカと一緒に冒険者ギルドに向かった。冒険者ギルドでティファは再び周りの冒険者達の歓声を受け、顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「はいはい!皆!そこまで!ティファ君。それじゃあ君のランクアップを行うよ」
ティファが今日冒険者ギルドを訪れた理由は、先のガブリィとの決闘で出来なかったランクアップをする為である。
僅か数日で、Fランクだった者がBランクまで上がるのは異例だが、そもそもティファは本来上がっていてもおかしくなかったので、誰からも文句が上がらず、ティファは無事に冒険者ランクをBまで上げる事が出来た。
そして、ティファの勝利により違約金を払う事なく、ヤン・ポン・ロンの3人はガブリィのパーティーを抜ける形になった。ティファが3人に今後の事を尋ねたら
「実は、昔マウローさんの所に所属していた人いましたよね?」
「その人が現在マウローさんの3軍パーティーのリーダーで」
「俺たちの事をマウローさんに直談判して「スカウト」で俺たち3人マウローさんの3軍パーティーに入る形になりました!」
3人は嬉しそうにティファにそう報告した。3人が嬉しそうなのを見て、ティファは頑張った甲斐があったなと誇らしい気分になる。
更に、3人はティファに自分達の夢を語った。自分達3人内、先にDランクに上がった者がリーダーになり、3人でパーティーを組み、ティファのような凄い冒険者パーティーを目指すのだと。それを聞いたティファは「そんな凄くないですよ!?」とひたすら恐縮していた。
そして、ガブリィはというと……なんとガブリィあの決闘の後逮捕されたという。罪状は王太子暗殺未遂容疑である。
まぁ、と言ってもこの罪はあくまで建前で、本当の目的はガブリィに闇ギルドの事を聞き出す事にあった。しかし、ガブリィも闇ギルドに接触したのはあれが初めてであり、出会った者についても、声の感じから男と思っただけで、人相などはまるで分からないと言う。
結局、王太子を殺す気はなく、闇ギルドと分からず接触しただけという事もあり、ガブリィはすぐに無罪放免で釈放されたが、ガブリィは王都ギルドディアを去って行ったという。
ティファは、ガブリィとは色々あったけれども、ちゃんと和解したかったと後悔している。
そして、現在。ティファは再び冒険者ギルドを訪れていた。が、今回はリッカと一緒ではない。それを周りの冒険者達が不思議に思ったが、ティファはエルーシャに相談したい事があると言い、エルーシャはすぐに出てきて奥にあるギルドマスター専用部屋に案内し、ティファの相談事を聞いた。
「……ふむ。なるほどねぇ〜。うん。ティファ君もパーティーのリーダーらしくなったねぇ。そういう考えを持てるのはいい事だよ」
「あはは……そうでしょうか……?むしろ気づくのに遅すぎるぐらいだと思ったぐらいで……」
「まぁ、君達2人は2人共規格外だから気づかなくても無理ないさ」
エルーシャは苦笑を浮かべながらそう言ったが、実はエルーシャは前から2人のパーティーの問題点には気づいていた。気づいていてあえて指摘しなかった。ティファ達自身でその事に気づいて欲しかったから。そして、ティファはちゃんと気づいてくれた。その事がエルーシャには嬉しかった。
「それで、私がそのティファ君の相談事の為に動くのは構わないけど、リッカ君はこの事について知ってるのかな?」
「いいえ。まだ言ってません。けど、今晩には話すつもりです」
「そうか。うん。それがいいよ。なんせ、リッカ君は君の幼馴染でもあり、同時に君のパーティーのメンバーなんだからね。しっかり話し合ってくれたまえ」
エルーシャはニッコリ笑ってそう言った。ティファも同じように微笑み一礼した後、ギルドマスターの部屋を出て、リッカが待つ「山猫亭」の自分達が寝泊りする部屋に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます