カーディガン

モト

カーディガン

昔Twitterで

「特定のカーディガンを着た日は悪いことが起こるから、そのカーディガンは捨てる」

というツイートを見た。

私はそこに、そこはかとない人生や営みの輝きを見た気がした。


「生きるってこういうことなんだ」

と、心のどこかで氷解した瞬間でもあった。

その瞬間だけは全ての疑問から解き放たれて、不条理の全てに納得できるような気すらした。


なぜそのツイートにそこまで感動を覚えたのかは今でもはっきりとはわからない。

でも喜怒哀楽には分類できない、すごく複雑で有機的な感情に一瞬にして絡め取られたような感覚を覚えている。

今思えば、確かにあのときの私にはカーディガンを捨てる自由すらなかったのだと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カーディガン モト @motomotono

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る