13話 女と叫には毒がある

キンコンカン、と4時限目終了の合図が鳴る。

「ふー!飯だ!!買いに行くぞ!!1日100食限定!焼きそばコロッケパン!!」

売店へと走る喪介。

教室を出て右に曲がり、渡り廊下を渡ってすぐの角を曲がると売店だ。

「クソ…、混んでやがる。でも買ってやる!!」

およそ3分後

「おっしゃー!ラス1取った!!」

乱戦の末、喪介の手には例のパンがあった。

その時、

「うう…、嘘だろ…嫌だ!」

1人の男子生徒が声を荒らげている。

「な、なあ君!ど、どうか…!どうか!そのパンを譲ってくれないか!?」

彼は喪介に近づくと縋るようにこう言った。

喪介はこの状況に土曜日の忌まわしい記憶がフラッシュバックした。

「あ、ああ…。」

少し躊躇して、彼に渡した。

「あ、ありがとう!ありがとうございます!!!恩にきるよ!!!」

彼はどこかへ走り去って行った。

直後、喪介は思った。

(妙だな…、パンを手にすることができなかったにしては怯えていたような…。)

「ここは試しに…。」

喪介の背後からミタマが出てきた。

「頼む、『モナ・リヒト』彼を追跡してくれ!」

軽くうなずくと追跡を始めた。

パンを譲った彼は真っ直ぐ屋上へと向かっていた。

(屋上で食べるのかな…?または一体何が…。)

「はぁ…はぁ…。間に合った。」

「注文の品、持ってまいりました!」

彼は何者かにパンを差し出した。

『モナ・リヒト』は屋上の入り口で静かに様子を見ている。

「あら、やるじゃない。どれど…。」

相手はパンを受け取ろうとすると動きが止まった。

「あなた、パンが少し潰れてるじゃない…。50点ね。」

「そ、そんな!!でも約束通りパンは持って来た!!許してくれ!!」

相手は彼を蹴飛ばすと言った。

?????でしょ!!!!誰に向かってそんな口きいてんのよ!!それにこんなもの、食べれる訳ないじゃない。」

「フフッ、残念。それに…頼んだのは2つよ?もうお忘れで?」

相手は2人のようだ。

怒る方が彼の頭を踏みつける。

「はぁー、総合で30点ね…。」

「フフッ、ゆず、確定ね。」

「ええ。」

2人の背後に2mほどの女の子の球体関節人形のような見た目をした白と黒のミタマが2体現れる。

(相手は馬場姉妹!?何故…?)

白いミタマは何か半透明の物を黒いミタマへと渡し、黒いミタマはそれの一部をちぎって飲み込んだ。

次の瞬間、誰が触れるでもなく彼の四肢があらぬ方向に曲がっていった。

「うぎゃあああああああああああ!!!痛い!!!あああ!!!!!」

「うるさいわね!!」

またも蹴る譲美。

黒いミタマは半透明の物を彼の体へと収めていく。

(やばいぞ…恐らくだがこの間のも…。)

動揺してしまい『モナ・リヒト』もとい喪介はガタ、と音を立ててしまった。

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