11話 足元から記事が立つ

翌日

「あー、何で俺が荷物持ちなんかしなきゃいけないんだ…。」

大量の荷物を持ちぼやく喪介。

「いいじゃない、この1週間私、散々迷惑かけられたし!」

皮肉っぽく茉由は言う。

「はーあ…知らないやつはお気楽でいいよな…。」

「あ!あれ!「もぐっぴースペシャルストラップ」!!今から限定200個だって!行くわよ!」

「はいはーい…。」

本日のターゲット目掛け向かう茉由と呆れる喪介。

「あっ、あの…すいません、あぁ、通してください…。」

休日の大型商業施設の人混みを同年代ぐらいだろうか、冴えない感じの太った丸眼鏡の男が喪介の横を通る。

所謂を絵に描いたような見た目だ。

(ん…?巷で噂のアイドル「音羽アイ」のサイン会イベントの参加者かな?開始は3時間後…にしては急いでるような…。)

「やったー!喪介!買えたよ!」

そんなことを考えてるうちに茉由が嬉々とした表情で戻ってきた。手にはストラップが入っているであろう小袋を握りしめている。

その横には

「お、お前!何でいるんだ九条!」

茉由に引っ張られて来たのだろう。九条の手にもストラップの小袋があった。

「え、つかお前…そんな趣味があったのか!!ははは!」

爆笑する喪介。

「ああ、ま、まあな。」

顔を引きつらせながら苦笑いする九条。

「いいよねー、これ!九条君もわかる奴かー!!」

茉由は九条をバシバシ叩きながら言う。

「「もぐっぴースペシャルストラップ」完売でーーす!!!」

店員が言う。

「そ…そんな…嫌だ、僕は…!」

喪介の横を通った男だ。

「あ、さっきの…ストラップ目当てだったのか。」

「僕は…ああ!…いやだ!!」

男は走り出す。

「お、おいおいどうしたあいつ…。」

「あいつ…明らかに様子がおかしい、まさか「煙の」!!廻!」

「ああ。」

2人がミタマを出す。その時。

「僕は…僕は死にたくない!!あああああああああああああ!!!」

「!?」

「!?」

ブシャッ、と男がした。

「え…?喪介これどういうこと?」

無残にも館内に飛び散る血。響き渡る叫び声。逃げ惑う人々。

館内は騒然とする。

「…わからない。なんだこれ…。」

喪介の手は震えていた。

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