10話 難事自らを知れ

「…てて、おはよ…。」

「ちょっと2人とも!!!何で道端で寝てんのよ!!馬鹿じゃないの!?」

喪介が目覚めるとそこは家で、茉由がいつになく怒鳴り散らしていた。

「悪いな、すぐ帰る。」

「え!?九条 界人!?」

そこには九条もいた。

「当たり前でしょ!一緒に倒れてたんだから!」

「誰かさんのせいでな…。」

皮肉っぽく九条は言う。

「いやいや、挑んできたのはどっちだよ!馬鹿か?」

言い返す喪介。

「なんだ…まだやる気かよ…。」

「やる気なのはそっちだろ!表出ろ!」

言い合う2人。

「飯だぞ~」

そこに現れた橘。

「お、九条くんじゃないか、君も食べるかい?」

「いや、いいです。帰ってやらなきゃいけないことあるんで。お世話になりました。」

帰り支度を始める九条。

「あ、そうだ廻。戦っているときの俺はお前にどう映っていた?」

九条は問う。

「信念を持っている感じだった…が、明らかに狂っている感じもあった。」

「そうか…いや、新学期の前日に歩いていると…「煙の男」に一瞬の隙を突かれて何かを吸わされてな…そこからの記憶が曖昧なんだ。」

「吸わされた…というよりは入ってきたに近いな…。まあ気をつけろ。」

九条は言う。

「じゃ、帰るわ。」

九条は玄関から去っていく。

「あ、そこまで送るよ!」

喪介も後を追う。

「…なんだ気持ち悪いな。」

「いや、そこまで送るだけだよ。」

「ならいい…それにしても綺麗な半月だな…。」

九条は空を見上げ、言う。

「…半月?」

「ああ、半月…。」

「やべぇ!急用を思い出した!!じゃあな九条!」

喪介は急いで帰りだした。

「お、おう…。」


「橘さん!!!わかったよ!俺の!!」

「本当か!?」

驚く橘。

「まあ飯もそろってる、食べながらでも話してくれ。」

「あれ、茉由は?」

「あぁ、早々に食べ終わって風呂だ。」

「なるほど、いただきます。」

喪介は食べ始めた。

「で、なんだ、そのは。」

「俺の能力は月そのもの。能力。」

「ほ、ほう…?」

喪介は続ける。

「今日の月は半月、1週間前…丁度本田と戦った日の月は満月。」

「そして俺の今のミタマ…。」

左半身が黒、右半身が白の兎のようなミタマが出てくる。

「…本当だ。これが…『モナ・リヒト』の能力…。」

橘はスマホをいじりながら頷く。

喪介は思った。

(問題は1週間後の新月だ…本田の言っていた日から丁度1ヵ月になる…果たして。)

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