6話 袖振り遭うも他生の縁

「『モナ・リヒト』か…、いいな!」

橘は興奮気味で喪介を褒める。

「…あ、そうだ。お前が寝てるときの話なんだが…知り合いに頼んで何とか茉由の通う高校に編入してもらうことになったぞ!とりあえず明日は編入試験まではいかないがまあ…学力テストがある。」

「あ、ちなみに学校は明後日からだ。頑張れよ。」

と、肩をたたく橘。

「急だな展開が…つか橘さん…あんたいったい何もんなんだよ。」

飽きれたような表情の喪介。

「んー、そうだな、ただの人脈の広いマジシャンさ。うん、じゃ、明日の準備もあるし部屋に戻るわ。」

どや顔をしながら手を振り去っていく橘。

「何か…適当に流された気もするが…。」

「どうしたの?」

茉由が風呂から上がったみたいだ。

「…いや、なんでもない。風呂入る、おやすみ。」

喪介は疲れていたのもあり、寝る支度を始めた。


2日後

新学期である。

喪介は編入、茉由は進級で2年生になった。

「喪介、同じクラスみたいね!」

「あぁ、そうだな。」

喪介と茉由が話しているとそこに何者かが肩をぶつけてきた。

「邪魔くせぇな、殺すぞ。」

声の主は身長180cmぐらい、かなり筋肉質な不良の男だった。

「あ?なんだよ、ぶつかってきたのはお前だろ。」

喪介が言い返す。

「ちょっと、やめなよ。ごめんなさい九条君!私の連れが。」

「そいつ…見ない顔だな。連れの女も謝ってることだしこれで済ませてやるよッ!」

九条と呼ばれた男が殴ろうとしたその時、拳のすぐ横辺りの空間に巨大な機械の拳が現れた。

「なッ、こいつッ!」

すかさず喪介は自らのミタマを繰り出し、ガードをした。

が、巨大な拳はかなりの勢いで喪介を2~3mほど吹っ飛ばした。

「何…!?」

九条と呼ばれた男は驚きの表情を隠せない様子だ。

「…ってて…。」

喪介はほぼノーダメージである。

「何…あいつ、九条さんのパンチを食らって傷一つないだと!?」

「何だあいつ!」

生徒がざわめいている。

「…チッ。」

九条と呼ばれた男は去っていった。

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