咲かないラフレシア

甘蜘蛛

かすかに香る焼香の匂い

『夜空に散りばめられた星々の正体。それは単に遠く離れた恒星こうせいの光である—————』


「そうそう」


『ワタシの話聞いてた?』


「だって事実だし」


『いや、ワタシが—————』


「事実」


『うぅ………まったく会話が成立しない…………』


「ごめんごめん」


『……………………………』


「どうしたの?急に黙って……もしかしておこった?」


『別に怒ってない。むしろ————』


「むしろ?」


『………いや、なんでもない』


「どうしたの?何か気になったことでもあるの?」


たいしたことじゃないよ」


「えぇ〜〜〜〜?本当に?」


『本当だって。ホントに、本当』


「むぅ……そこまで言うなら………」


『本当だよ?やっぱりキミに深く関わりたくない。そう思っただけだよ』


ひどくない!?」


『自分の行動と言動を思い返してみなよ!ドン引きすることばっかだよ!?』


「ウッ!!」


『自覚があるぶん、なおタチが悪いし』


「ウゥ………」


『それに……アレはない。夢見るぐらいでちょうど良かったんじゃないの?』


「……………………………………ない」


『うん?』


「アレは仕方ないよ」


『…………仕方ない?』


「うん。それに」


『それに?』


「そもそも夢見る必要なんてあったのかな?」


『』


「どうしたの?」


『…………やっぱりキミは————————』


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咲かないラフレシア 甘蜘蛛 @HLofCAFL6741

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