魔剣少女になりました！

第274話 レジスタンスの拠点へ

　ワンダーランドからもらった地図と腕輪。それを持ってクロエとレイヴェルはレジスタンスの拠点へと向かっていた。

｢なぁクロエ。この情報どう思う？　ほんとに信じていいと思うか？｣

『……信じていいと思う。魔剣っていうのはやっぱり自分に正直だから。あの時の言葉は嘘じゃ無い……と思う』

｢そこは素直ってことか。できれば言い切って欲しかったんだけどな｣

『だってそこはさぁ。やっぱりどうにも信じ切れないというか』

｢まぁそりゃそうだ。でもとにかく行ってみるしかないな。外れだったらその時はその時だ｣

『うん。大丈夫。レイヴェルのことは絶対に守るから』

　とは言うものの、今のレイヴェルはまだほとんど魔力が回復していない状態だ。もし仮に戦闘になればまともに戦えないことはわかりきっていた。その時はクロエが非常時に備えて残している魔力を使うしかないと覚悟を決めていた。

｢あんまり気負い過ぎるなよ。俺だって何にもできないってわけじゃないんだからな｣

『もちろんそれはわかってるけど。あ、右から二人来るよ』

｢わかった｣

　クロエの忠告を受けてさっと身を隠すレイヴェル。その直後、巡回の兵士が二人姿を現す。

｢あれ、おっかしいな。確かにこっちの方で声が聞こえた気がしたんだが｣

｢そんなわけねぇだろ。こんな時間に出歩く奴なんていねぇよ。ふあぁあ、それよりさっさと見回り終わらせて次の奴と交代しようぜ。眠くてしょうがねぇ｣

｢おいちゃんとしろよ。今がどういう時期かはわかってるだろ。何かあってからじゃ遅いんだぞ｣

｢そんな心配することねぇえだろ。何があったって俺らが負けることなんてねぇよ｣

　真面目に見回りをしようと言うエルフに対し、もう一人は不真面目な性格なのかあくびをしてさっさと帰りたそうにしている。

　そんな二人に気取られないようにレイヴェルは気配を消して物陰に隠れる。

｢そのまま行ってくれよ……｣

　隠れたといっても、周囲をつぶさに探されれば見つかる可能性は高い。

｢大丈夫だって言ってるだろ。ほら、もう行こうぜ｣

｢あ、おい！　～～～～っ、仕方ないな。待て、二人一組で行動が原則だと言ってるだろ！｣

　二人組が離れて行くのを確認してからレイヴェルは息を吐いた。

｢不真面目な奴がいて良かったな｣

『だね。エルフってドがつくほどの真面目なイメージだったけどあぁいう人もいるんだって思っちゃった。まぁそりゃそういう人もいるか。エルフも十人十色ってね』

　巡回の兵士達をやり過ごしたレイヴェル達そのまま『グリモア』の外へと向かう。

　地図に記されていたレジスタンスの拠点は『グリモア』の外の森だった。

『『グリモア』の中にはないだろうとは思ってたけど、もっと離れてると思ってた。思った以上に近い位置に拠点を構えてたというか』

｢あんまりグリモアから離れすぎてても行き来がしづらいってことじゃないか？　物資運ぶのだって楽じゃ無いだろうしな。それにたぶん何か仕掛けてるだろ。レジスタンス以外の誰かが近づいてきたら発動する類いの｣

『ま、そうだろうね。結界か何か。でももしそうだとしたら……って、やっぱりビンゴか』

｢ここ、さっきも同じ景色見たよな。気のせいじゃないと思うんだが｣

『うん、間違いないよ。なんか妙な感覚があったし。どうする？　無理矢理壊すのはさすがにダメだよね』

｢さすがに無しだ。というかたぶん、そのためのこの腕輪なんだと思うぞ｣

　レイヴェルは警戒しながらも腕輪を装着する。すると、腕輪につけられていた玉が光を放ち目の前に道が開けた。

｢すごいなこれ。どういう仕組みなんだ？｣

『わかんないけど、でも道は開けたみたいだね。さっきまで感じ取れなかった人の気配をいっぱい感じる。これ百人以上いるよ』

｢百人……レジスタンスともなればそれくらいいるか。たぶんこの場にいるのがそれくらいってだけで実際はもっといるんだろうな｣

『少数精鋭ってことはあるだろうけど、国の中にも隠れてるんだろうね』

　結界の中を進むごとに人の気配が近づくのをクロエは感じていた。

　そして――。

｢ここが……レジスタンスの拠点｣

　レイヴェル達はレジスタンスの拠点へと足を踏み入れた。