第23話 一発逆転⁉︎
「ニコテス様!将軍が押されております!!」
「何を言ってるんだい?彼が押されることなどないだろう」
「良いから、来てください!」
兵士に連れられたニコテスが見た光景は、信じられないようなモノだった。
筋骨隆々な将軍の体からは血が流れ、ひょろりとした敵将は砂埃を払うだけ。
「どうしたと言うんだ、将軍」
「知らぬ。刃が通らんのだ、こいつには」
ニコテスはこの珍事を解決するため、敵将を観察ことにした。とはいえ、ホーセンが攻撃を続けるので、観察は難儀なことである。
「おい、敵将は何か言ってなかったか?」
「うーんと、魔術だか武術だかって言ってました」
「なるほど。やはり俺に似てイケメンは皆、魔術を使えるんだな」
(何言ってんだ、あいつ)
とニコテス以外の兵士が思った時、そのナルシストは自慢の頭をフル回転して解決策を見つけ出していた。そんなニコテスの元に反動でホーセンが飛んできた。見るからに満身創痍なその姿に兵士たちは絶望の悲鳴を上げる。
「将軍!私が先に攻撃しますので、その後に攻撃を!」
「うるせぇぞ、賢者さま。俺なりに理解した」
「え?」
「どうやる気なんです?」
「そんなの決まってる、
“一撃で叩っ斬る”」
「は?」
この大声を聞いたトリステンでさえ、そう思っただろう。
「あいつは本物のケモノだなぁ。もう無駄だって気づけよ」
トリステン側はもう勝ったムードに包まれている。
ここでニコテスは一つ閃いた。
「皆のもの、急いでさっきの城まで戻れ!!」
ただでさえ反動で吹っ飛んでるというのに、本気も本気。ましてや一発で終わらせようなんて思ってる。これは確実に大惨事になるが、誰も
ニコテスたちが必死に走るの横目にホーセンは薙刀を回す。やがて竜巻のように舞い上がる風はホーセンを包み、龍の如く唸り始めた。
「なんかヤバそうじゃね」
「どうせ、このレイピアを持ってすれば」
トリステン側に焦りが舞い降りる。
「歯を食いしばれ!我が国に抗う者ども!!“雲開 龍の如し”‼️」
放たれた斬撃は竜巻を伴い、龍の咆哮を鳴り響かせながら襲いかかった。
「これって、一撃じゃないだろーが!」
「ヤバいぞ!」
「逃げろ!」
みんな、空に舞い上がり、誰も逃げることが出来ない。トリステンはただ目を瞑り、自身の無事を祈るしかなかった。
レイピアの弾きも虚しく、辺り一面削り取られた。その跡はまるで怪物が通ったように。
-数時間後
「竜巻が起きたっていうから、心配で来ちゃった」
“一撃”の後、彼らは大きめのキャンプを開いていた。モモとアヤカは急いで来たが、将軍は既に作戦会議をおこなっている。
「ニコテスさ。あんたじゃないんだわ」
「将軍さま、どっこー」
代わりに応対してるニコテスは、ズタボロにいじめられている。
「やっぱり将軍はレベルが違うよ」
「今さら??」
「あんたに言われなくても、わかってる」
「一撃って言って、無意識に連撃を出し、対応しちゃうとはね」
モモとアヤカにはポカーンだった。女の子には難しい話ではあったが、やがてホーセンの凄さは彼女たちにも明確にわかる日が来る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます