第21話 敵を見ずして、突っ込むべし-その1

エールランドとの戦いが決まってから、すぐに作戦会議が始まった。カタクラがセレティア側、マキナがペールマン側の指揮官となっている。

アイリもモモたちと同様に全くもって、作戦を理解することはなかった。


(以下の【】部分は実際の説明が入りますが、もちろん、彼女たちは一切聴いてないor理解出来てないので、飛ばして読んでも大丈夫です。)


【現在、エールランドにも同盟国がいる。ブリオットという小国であるが、この大陸で一番歴史のある国でもあるのだ。立地的にはエールランドの北部に位置しており、セレティア側から攻める我々の戦場に援軍が来るのは時間がかかるだろう。ゆえに、エールランド国境にある城“ストライ城”を最高火力を持って攻めたて、援軍が来るまでに首都まで辿り着くというのが得策であろう。】


これが作戦会議で出た結論であった。


「やっと終わった?」

「モモ寝てたでしょ」

アイリに関しては飽きて、城の中を探検しに行ってしまっていた。理解はしなくとも、最後まで聞いていたアヤカ。

「結局、正面突破ってことでしょ。ホーセン呼んでくるね」

そう言ってアヤカは部屋を飛び出した。


-1時間後

「これで揃いましたな」

カタクラが仕切り、最終確認が始まった。

「先陣は我だな」

「ホーセン将軍、気をつけてね」

「ああ。所詮は雑兵の集まりよ」

「お供します、ホーセン殿」

先陣はホーセンに加え、マキナとニコテスが務めることとなった。総勢3000を超える兵たちは誰もが認める強者揃いで、帝国の機動兵までいる。


「アイリたちがメインだね!よろしく、ジュンヌ!!」

「はい」

「ジュンヌ様、ご安心を。このケロルもついております」

本隊となる中盤は、ジュンヌとアイリを筆頭にケロルやその他の各国の将軍が加わることになっている。

そして、その後ろにカタクラやゼルリッチといった策士がつく。

「アタシたちは?」

「あなたたちは、わしと一緒じゃよ」

「エロじじいかぁ。まぁ、良いけどさ」

「いかにも、不満そうな顔じゃ」

冷たくされ落ち込むゼルリッチ。その姿を見て、カタクラはわかるわかるとゼルリッチを労った。


出陣の前日、アヤカはホーセンの元を訪れていた。

「将軍、今良い?」

「かまわんぞ」

ホーセンは入念に愛馬アカウサギをブラッシングしていた。アヤカはそっとホーセンに寄り添い

「気をつけてね」

「信じて待っておれば良い。敵将の首を持ってきてやろうぞ」

「帰ってきたらさ、」

そう言いかけて、アヤカはホーセンに続きを言うのを止められる。

「そういうことは言うべきでないぞ。夢物語は語るものではなく、実らせてこそ意味があるというものだ」

寄り添う二人は、少し親密に見えた。


-エールランド郊外

「“マリン”、どうなっている」

「ホーセンを筆頭にして、明朝にセレティア国境から攻めたてることでしょう」

「そうか」

郊外の草原を駆け抜ける約1万の騎兵。その先頭には静かに星空を見上げる将の姿があった。

「ホーセン将軍を落とすには、絶好期というべきか」

不敵な笑みを浮かべる将たちは黙々と国境へ向かっていた。

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