第三章 智は武より強し、バイブスは智より強し!

第20話 近道したくね?

セレティアとペールマンが同盟を結んでから二週間後。

地理上の問題もあり、アイリたちはやっとのことで、セレティアにたどり着いた。

「いやぁ。ベリー遠かったわ」

「ほんと、疲れちゃった」

モモたちもアイリたちと共に帰国したのだが、その顔には長旅による疲れが表れている。

「ジュンヌ、どうにかなんないの?」

「“エールランド”を通れれば、もっと楽になると思いますが」

「アヤカちゃん、とりあえずお風呂入ろー」

「アイリも!」

モモたちについて行こうとするアイリをマキナが止める。

「ダメです!まずは女王に合わなければ」

「シット!じゃあ、早くフィニッシュね」


-謁見の間

「遅かったわね、雪国のアザラシども」

「女王様、もう少し丁寧な言葉を」

相変わらずの毒舌を繰り出すワネット女王。

アイリは運良く、意味がわかっていないため、揉める事はない。しかし、理解しているマキナはブチギレ寸前であった。

「同盟を結んだからには、何か持ってきたんだろうね」

ワネットは上から目線を貫いてくる。アイリは悪そうな顔して

「プレゼント」

そう言って渡されたのは水着だった。しかも、お世辞にも大きいとは言えないお胸をお持ちであるワネットには、到底合わないサイズであった。

「これはどうも、アザラシ野郎」

「ギブアンドテイク、プリーズ」

アイリの言葉に一同、震え上がった。


その頃、モモたちは風呂を終えくつろいでいた。そこに、彼女たちの帰りを待ちわびていたケロルが走ってきた。

「無事で良かった」

目を潤ませるケロルはすぐにモモの胸に収まった。

「ケロちゃん、会いたかったよー」

「苦しいです〜」

アヤカもその情景を見て微笑んでいた。ケロルはモモの束縛から脱出し、

「今、帝国のアイリ様が女王に謁見なさっています」

「もう⁉︎」

アヤカの頭でその状況を想像し、震え上がった。

「これは止めないとヤバいって!」




-謁見の間

「ちょっと待った!!」

全速力で走ってきたアヤカ一同が、謁見の間に流れ込む。

「別に問題は起こっていませんよ。私は怒ってますけどね」

マキナの雪国シャレの後、ワネットも微笑を浮かべ

「どうした乳牛ども」

「あれ、揉めてない?」

アイリはモモたちにグッドをして

「みんなも来たことだし、ギブアンドテイクの話ね」

アイリは両腕を広げ、堂々と

「近道したいからさ、エールランドをブレイクするのヘルプして」

ワネットは高笑いをした後、

「気に入った!一緒に潰そうじゃない。あの酒浸りの国を」

ケロルやカタクラのような常識人たちはどよめいたが、“彼女たち”は動揺どこしか

「確かに近道したいよね」

「なんかムカつくし、やっちゃおっか」



そんな突飛な提案により、セレティア史に残る戦いが繰り広げられることとなる。

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