第19話 ツルツルなのは肌だけで十分!!

“氷上闘球”。

それは古くからペールマン帝国に伝わる伝統球技であり、その目的は兵士がいついかなる状況においても戦い抜く心身を養うことにある。



結論から言えば、“ドッジボール”である。



「ルールはわかったけど、チームどうするの?」

「チームAとチームMは?アタシとモモが分かれれば色々と面白いだろうし(笑)」

結局チーム分けはアヤカとアイリを筆頭とするチームA。チームMにはモモとマキナ、ジュンヌが入った。


「ツルツルじゃん!これじゃ立つので精一杯だよ!」

「わしに任せんしゃい!」

審判役に命じられたゼルリッチは氷上に魔術をかけ、転んでも痛くないようにした。

「これで痛くないぞ。存分に暴れてくれい」

ゼルリッチはいやらしい笑いを浮かべる。


序盤はアイリの部下たちによる接待ドッジボールが続いた。

「それ!」

「女王、球速いです!!」

「うわあああ!」

自分たちのボールで、次々と倒されていく部下たちに大興奮する3人のギャルたち。その頭はお花畑のため、全くもって接待ということに気づかない。

「これって流石にわざとよね」

ジュンヌだけはあっさり気づいていた。

「アイリ様、いきますよ!」

盛り上がっている彼女たちにマキナの豪速球が襲った。アイリはびっくりして伏せてしまった。しかし、アヤカがその球を蹴り返して、外野の部下にパスした。

あまりにも威力が強かったので、アヤカはアイリスの上に倒れ込んだ。

「ごめん、アイリ」

「アヤカの胸、相変わらずソースモールね」

がっちりと胸を掴むアイリ。

「やってくれたなぁ。外野、ボールちょうだい」

そのままアイリに投げつける。しかし、その球をお尻で上に上げて簡単に取ってしまった。

「アイリはお尻もビッグなの」

そして、アヤカに投げ返す。

蚊帳の外になったモモはコートを無視して乱入してきた。しかも参加に消極的だったジュンヌも連れて。それを見てすかさず、マキナも介入する。


第二セットはコート無視のバトルロイヤルとなった。

ここで圧倒的な強さをほこったのはモモだった。その大きな胸で球の威力を抑えるという離れ技で無敵状態と化した。

「ヤベぇ。モモ強すぎだわ」

「やはりビックピーチパイは侮れませんね」

みんなもそろそろ限界になってきて、何もないところで滑ったり、かなりの泥試合となりつつあった。

「えい!」

「えい!」

「あれ、アイリ当てられた?」

「アタシもだわ」

ジュンヌはやっと氷上に慣れて華麗に滑っている。そして軽やかに一人ずつ当てていくのであった。

「マキナも当てられているじゃん(笑)」

「ワタシも当てられちゃった」

圧倒的なスピードでジュンヌは全て倒してしまった。モモには背中で当てることで対応したのだった。

「なかなかやるね、クイーンジュンヌ」

「アイリ様、たしかに強者です」

「いいや、ベリーファニーだったし。同盟組んじゃお!」

「ありがとうございます。助かります」

モモとアヤカはこの成果にハイタッチをした。


この時、他国の将軍たちは大国と小国がドッジボールで同盟が決定したのだと推測できた者は誰もいなかった。



つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る