第15話 潜入⁉︎ ペールマン帝国!-その1

セレティアを出てから一週間が経った。天気もまるっきり変わり、一面雪景色となっている。

「雪すごいねぇー」

「これでも寒くないのは、エロ爺のおかげ?」

「そうですぞ。わしにかかればこんな寒さ、ちょちょいのちょいよ。」

長旅によってゼルリッチに心を開き始めていた。現に世間話をすることさえあるほどだ。

「ねぇ、ゼル爺。アレもどうにか出来る?」

「アレとは、なんですか?」

「爺さん、老眼で見えないの?あそこに並んでんじゃん!ロボットみたいなの。」

そこにいたのは、3mほどの大きさがあり、漆黒の鎧を纏ったロボットだった。手には大きなガトリング砲を装備している。

「こりゃ、帝国の機動兵だなぁ。わしがいた頃はまだ、試作品だったのに。流石、我が母国じゃ。」

「関心してる場合?早くやっつけちゃってよ!」

「ゼル爺ゴーゴー!!」

「よぉし。わしに任せなさい!!」


辺り一面に広がる大雪原。一方には老人一人と女が二人。もう一方には、10体にも及ぶ機動兵たち。

ゼルリッチは、“誰もいないはず”の方へハンドシグナルを送った。そして、ふっと深呼吸をしてから、魔術を発動させた。

「決めてやるわい!“サンライ”!!」

ゼルリッチの周りから、ビリビリと電気が現れ、機動兵のもとへ雷が降り注いだ。雷によって地面が粉々に砕けたが、機動兵は全くの無傷で、こちらに銃口を向ける。

「撃たれる前に撃つ!“エンファ”!!」

続いて業火が機動兵を襲うも、全くの無傷のままだ。

「全然効かんわい。わしも老いたのう、、、」

「諦めんなって!捕まったら面倒いことになるって!」

「安心せい。君たちは必ず届ける。」

そう言うと、ゼルリッチはニッコリと微笑んだ。アヤカとモモはその笑顔を見ると同時に視界が暗くなった。



「んー。よぉーく寝た。」

「頭痛いわぁー。てかここどこ?エロじじいは?」

二人が目を覚ましたのは、なんの変哲もない小屋の中だった。あたりをキョロついていると、そこにはニコテスがいた。

「二人とも無事で良かった。怪我はないかな?」

「あんた、ゼルリッチの爺さん知らない?戦ってくれてたんだけど。」

「あぁ、無事だよ。うまく逃げ切れてるみたい。」

ニコテスは苦笑いを浮かべながら答えた。それに気づいたアヤカはすかさず、

「マジで言うと、じいさんヤベェんじゃねぇの?そんな気がするんだけど、、」

「女性の鋭さは目を見張るものがあるね。バレてしまったのなら仕方がない。」

ニコテスに連れられ小屋の外に出た。ニコテスの指差す先には、大きな台があり、一人の老人がうなだれている。

「見ての通り、我が祖父、ゼルリッチは明日の朝、公開ジャッジメントされるそうだ。」

「ジャッジメント?処刑とかじゃないの?」

「“じゃっじめんと”なんてアイリちゃんみたいだね。」

「そうだな。」

ペールマン帝国における最初の任務は、ゼルリッチの救出となった。




つづく

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