第4話 城って凄い!!!-その1

ホーセンは宴をまだまだ楽しんでいたが、アヤカたちは早めにおさらばした。

「今から、あそこにあるお城に行きます!」

「おお!」

「やったー!」

やがて、彼女たちの足元に魔法陣が広がり、三人は姿を消した。



「どこ行っていたんですか!」

「なんだ、エロじじいの城かよ。」

城のエントランスホールには、見るからに疲労困憊なゼルリッチが座り込んでいた。

「ケロル、お前ってやつは、、、」

「この洋服は全部、じじいが??」

「じじいとはなんじゃ!まぁ、よい。これはわしが買ってきたもんじゃ。好きなのを選べ、、、、、出来れば着替えを見せ、、」

「ありがとー。ケロルーこの部屋使うね」

アヤカとモモは、サンタのように洋服の入った袋を担ぎ、部屋へ入った。部屋はとても大きく、その中でも高級感のある三面鏡がよく目立っている。

「アヤカちゃんはどれ着る?」

「どうしよっかなぁ。ショーパンにノースリのトップスとかで良いんだけど。」

「あのぉ〜」

部屋の扉をほんの少し開け、ケロルが声をかけてきた。

「覗きかぁ?(笑)」

「いえいえ、違いますよ!ただ、服装について何ですが、、、」

「なんかイケナイとかあるのぉ?」

「えーと、今選んでいただくのは日常生活用ですので、あまり着飾らなくて良いです。ただし、露出は控えめにお願いします。」

「わかったよ。」

それから約一時間ほど、ケロルは地獄を味わうこととなった。

まず、自らの師匠であるゼルリッチの何十回にも及ぶ覗き行為を止めること。老いたとはいえ、ゼルリッチも賢者であるため、ケロルは苦戦を強いられた。

次に、部屋から聞こえてくる女性特有の会話である。そういったことにウブなケロルは心の動揺が凄まじかった。

「モモ、また大きくなったんじゃない?」

「よく気づいたねぇ。また、サイズ上げたんだぁ。」

「どれくらいよ」

「やだ、やめて〜。揉まないでよ〜。今は〜Fカップ〜」

「でっかいなぁ。羨ましいぜ。」

「ワタシも反撃してやるー。こちょこちょ攻撃。」

「やめろって、おい!くすぐりは苦手なんだ!」

このような会話を聞き、ケロルの頭は沸騰寸前であった。加えて、ケロルは己の扉を開けたい意欲とも戦ったので、二人がやっと出てきた時は満身創痍の状態だった。

「おっ待たせぇー!」

「完成ですっ!」

格好は二人とも、異世界ではなかなか見られないアレンジを加えたものになっていた。

アヤカはローブをまとっていたが、ローブの肩口は円形に切られオフショルになっており、ロングスカートの部分もベルトでギュッと締めタイトにし、スリットも入っていて褐色の脚がチラ見えしている。

モモの方はひらひらとした羽衣風のドレスを着ていた。しかし、袖は肘上あたりで器用にまとめられパフスリーブと化し、スカート部分もばっさり切られ、その下に履いてるショーパンのアクセントに変えられていた。

「凄いですね、、、」

「アタシたち、実は裁縫得意でさ。ちょっとアレンジしちゃったよ。」

「ケロちゃんにお願いなんだけど、切ったところ綺麗にしてくれるかな??」

「良いですよ。」

二人の洋服は輝き出し、そして光が収まる。

「ありがとう、ケロちゃん💕」

「いえいえ。次は城内を案内しますよ。良いお部屋を準備しましたので。」

『これはこれは。大賢者ケロル様。可愛らしいお嬢さんを二人も連れて。』

「ニコテス。どうしてここに?」

「もちろん。女性がいるところに大賢者ニコテスありって言うでしょ?」

「いや、ないわー」

拒絶する二人の前に新たな賢者が現れる。




つづく

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