第3話 嵐のように激しいオトコ-その3
野盗のアジトに着いたアヤカとモモは衝撃の映像を目にする。
「貴様らか。あの村を襲ったのは」
「やはり、ホーセン将軍じゃねぇか」
「こりゃ、ついてねぇ」
「おしまいじゃあぁー」
絶望感を漂わせる野盗たち。ホーセンは静かに腕を組み、野盗を睨みつけている。
「まぁ、いい。失せろ」
薙刀を取り出し、グルグルと頭上で回し始めた。ちらっと、二人を見た。
「お前らは、木の後ろにでも下がっておれ。これをお前らに当てるわけにはいかぬ」
ホーセンを中心として小さな竜巻が発生した。その竜巻で野盗たちは誰一人、近づくことが出来ない。
「我が一太刀は天をも切り裂く。“雲開”‼️」
ホーセンが薙刀を振り下ろすと、竜巻は真っ二つに切れ、野盗たちを周囲の木々ごと吹き飛ばした。
「うわぁあー」
「くっ、、、」
必死にスカートを抑えるも、身体自体が浮き上がり、スカートの中身を晒すことになった。
「やばっ!見られる!!」
「どうした?大事は無さそうだが?」
「そうじゃ、ないんだけどなぁ(照)」
ホーセンもまた、普通ではない感覚の持ち主なのかもしれない。
「すごかったねぇ。将軍さま、つよい!」
スカート全開にも関わらず、モモは将軍を称える。ホーセンは少し首を傾げ、
「うーむ。足りぬ。明らかに手応えが薄い」
「え?」
確かに村を襲ったわりに、人数も盗品も少ない。ホーセンは枝に引っかかった野盗を見つけ、その巨大な腕で掴み上げた。
「おい、貴様!!」
「へぇ??なんでしょ??命だけは、、」
「頭領はどこにいる?腐った頭の頭領は??」
「わからねぇよ。俺らが馬の鳴き声で起きた頃には、颯爽と支度して逃げちまったよ」
「うむ」
思いっきり野盗を地面に叩きつけてから、少年の妹を探す二人の元へ、
「どうやら、逃げたようだ」
ホーセンは村長からもらった地図を広げた。
「どこだろーね」
「ダメだ。さっぱり、わかんねぇ。将軍さまは?」
「全くだ。我はこういう座って考えるのは好かん!!」
ホーセンはだらしなく、大の字で野原に転がってしまった。
「ねぇねぇ。アヤカちゃん、ここいそうじゃない?」
「ここは“あな”?うーんと、“ほらあな”か!」
二人の盛り上がりを聞き、ホーセンも起き上がる。
「なぜ、そこにいると思う?」
「えーと。ほら穴にはクマさんがいるでしょ!やっぱり、野盗のみんなもクマさんと一緒にいたら心強いと思うの✨」
「え??モモ、あんた本気で言ってるの?」
「ワタシはいつも本気だよっ!」
「面白いぞ、実に面白い!熊なんぞで我を倒そうとは!まとめて潰してくれよう!」
「どっちとも凄い(笑)」
この突拍子のない考えに乗り、洞穴に向かったホーセンたちは、野盗を無事発見した。
「なんでバレたんだよ!」
「普通、本丸のアジトに戻ったとか考えるだろうに。」
「ワタシのおかげです!」
モモは胸を張り、自信満々なドヤ顔を披露している。アヤカは二人に注目してるのを利用し、さらわれた少女を発見した。
「見つけたよ!怪我もなさそう!」
「あんなところにも、女がいるぞ!」
「貴様ら、我に背を向けるとは、、、」
「許さんぞ!!」
目を閉じ、深呼吸するホーセン。そして、薙刀を振りかぶり、カァっと目を開いた。
「突き抜けろ!“海閃”!!」
捻りながら突き出された薙刀は、地面に凄まじい斬痕を残した。もちろんのこと、野盗は誰一人立ってはいない。
「ちょっと、待ってよぉー」
アヤカ自体には怪我はなかったのだが、先程の一閃で制服がビリビリに破れてしまい、褐色の肌が至るところから見えてしまっている。
「よし、帰るぞ。」
「はぁーい。さぁ、君もおいで。」
モモは助けた少女の手を優しく握った。アヤカは顔を真っ赤にして、モモに何か隠すものを持ってくるようにジェスチャーしている。
「ほら、隠せ。女は皆の前で裸を晒すのではいぞ。」
ホーセンは静かに自分のマントをアヤカにかけた。
「お兄ちゃん!!」
感動的な兄妹の再会に号泣するモモを尻目に、ホーセンは村のみんなと宴会に興じていた。アヤカはマントを握りしめながら、外れの木の下で蹲っていると、
「大変だったようですね。服は僕にお任せ下さい。あっ、目はつぶってやりますので!」
両鼻に鼻栓をつけたケロルは、アヤカの姿に気づき、顔を出したのだ。
「行きますよ!“ナオモド”!!」
アヤカの制服の残骸は光輝き、元の姿に戻った。
「ありがとね。」
そっと抱き締めるアヤカに、ケロルがボソッと告げる。
「大きくなくても、いいと思います。」
「殴るぞ、バカ!!」
つづく
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