第一章 とりま、統治始めっちゃお!
第1話 嵐のように激しいオトコ-その1
「まずは自己紹介ですね。私の名前はケロルと申します。」
アヤカたち一行は教会を出て、街を一望出来る展望台にいた。展望台からは古き良き西洋の街並みが広がっている。モモはその景色に酔いしれ、全く話を聞いていない。
「モモさん!言っときますが、私はあなたたちより年上ですよ!ですので、子ども扱いはやめてもらい、、、」
「嘘つけ(笑)。ぜってぇー年下だろ(笑)」
「そうやって強がるケロちゃんも可愛い💕」
「ケロちゃんって、おおおお胸が、、、」
またもモモの胸に沈められるケロル。その顔は真っ赤に高揚している。
「ウブな反応してんじゃん(笑)確かに可愛いな」
「このワシ、ゼルリッチもアヤカ殿のお胸に、、、ムフフ」
「いや、ないわ。確実ない。ケロちゃんなら良いけど、あんたみたいなエロじじぃはないわ」
「そんなにないない言わなくても、、、」
ゼルリッチはひどく落ち込み、いつも以上に萎れてしまった。一方、ケロルはモモの胸から抜け出し、説明を続けた。
「まぁ、私は二十歳ですから。それは留意してください」
「“りゅーい”ってなぁに??」
「モモさんは正気なんですか??覚えておいて下さいってことです!」
「そんなに怒らないでー」
モモはケロルの頭を撫でながら、展望台の端で干からびてるゼルリッチを見つけた。
「ゼルさぁん。お洋服買ってきてよぉー」
「では、サイズを測らないと、、、」
「アタシはM。モモはSか?」
「Sだとおっぱいがキツいから、ワタシもMで」
「だとよ。早く行ってこい、エロじじぃ」
アヤカにまんまと言いくるめられ、静かに展望台を後にする。ケロルは咳払いをして、話を続けた。
「えーと、話を戻しますが、あなたたちはこの国を救うべく、私が召喚したのです」
「はい、ちょっとタンマ。モモは良くてもアタシはOKしてねぇよ。そもそも、どうやって国を救うって言うんだよ」
「女子よ、救国を語るとは何とも素晴らしい心がけだ」
身体に響くような低い声が聞こえる。そして、鎧を纏った男が展望台の階段をゆっくり、どっしりと登ってくる。推定2メートルあるような大柄の男。その筋肉質で丸太のような腕や脚には多くの傷痕がみえた。
「これはホーセン将軍。どうしてここに?」
「我はここが好きなのだ。この街を一望できるここがな」
圧倒的なホーセンの存在感に流石のモモも息を飲んだ。ましてアヤカにおいては、半口を開けてぼーと見つめるばかりだ。
「もしやこの女子らが、お前が連れてくると言っていた救世主とやらか?」
「はい。ですが、ちょっとした手違いで揉めてまして、、、」
ケロルがホーセンにヘコヘコしている中、アヤカがいきなり、
「アタシも何が出来るかわかんないけど、手伝うよ」
アヤカの目は今まで見せたことのないようにキラキラしていた。モモがこっそりとアヤカ近づき、囁く
「アヤカちゃん。惚れちゃったんでしょ。あの将軍様に❤️」
「うるせぇぞ、モモ。あんなに良い筋肉してるオトコ見たことないし、顔も、、、」
アヤカの顔は花のように真っ赤だった。ホーセンは少し空を見上げたのち、
「お前たち、我と一緒に来い。そこの女子が火照っておる。冷ましがてら、野盗狩りに行くぞ!」
「レッツゴー!!ケロちゃん、行きたくないのぉ?」
「ケロちゃんじゃなくて、ケロルです!いや、戦いは実際苦手なのですが、ホーセン将軍は一回言ったら聞かない人ですし、せっかくお二人も乗り気になったのですから、」
「何をボソボソ言っておる。行くぞ」
[ホーセン将軍たちが去ってから、数十分後]
「SとかMっての何なんじゃ?手間取ってしまったのう。みなさん、色々と買ってきたのでお好きなのを、、、ってあれ⁉︎誰もいない」
ゼルリッチの前には虚しく街並みが見えるだけだった。その展望台の手すりに小鳥が一羽止まり、ゼルリッチに向けて鳴いた。
「小鳥しか、わしを慰めてはくれぬのか」
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます