ツン&ふわ軍師〜バイブスで決める異世界統治〜

拙井松明

プロローグ

時は平成が終わる頃。

原宿は若者でごった返していた。

彼女達もそんな若者の一人であった。

「ねぇ、まずどこ行く?」

「クレープ食べたい!」

「私はタピオカが良い!」

いかにも仲良しそうな四人の女子高生はそんな若者の町を歩いていく。進んでいくにつれ、彼女たちの装備はクレープやタピオカで色鮮やかになる。

「プリ撮ろー」

「良いねぇ。ほら!新しいの増えてるし」

「こんなプリ入荷するって、どっかに書いてあったっけなぁ」

「撮らないの?」

「ううん。今行く!」

どことなく既視感が漂うプリクラ。その外見にはゆるふわメイクの女性が微笑んでいる。

「アタシ、こういう系の子あんまりだなぁ」

そう呟く褐色の肌の女子高生。

「じゃあ、撮るよー」

「せーの、、、ってあれ?」

「全然動かないじゃん!」

「待っておこーよぉ」

『転送魔術起動!!“バシット”!!』

彼女達の頭にそんな声が聞こえたのち、プリクラは光に包まれた。

「わぁー。最新の機種は違うねぇ」

「いやいや、流石にこれはマズいっしょ」

『はい、チーズ!』

盛大なフラッシュの焚かれた後には、彼女たちの誰一人も残っていなかった。それどころか霧のようにプリクラ自体も消えていった。



『ようこそ、セレティアへ!』

『あなたたちは天が我々にくださった希望の使者なのです!!』

ステンドグラスから漏れる日差しが鮮やかなに室内を照らす教会の中。

目の前にはとんがり帽子をかぶった老人と少年が希望に満ち溢れた目でこっちを見ている。

「いやいや、聞いてないって!ここどこなんだよ!!」

「アヤカちゃん!ついに私たちに運命の人からの使いが来たんだよ」

「モモ!こんな状況にもなって、お花畑モードを発揮しないで!」

老人は眼鏡を外し、人数を何度も数える。

『ちょっと少ない。老いると魔術も冴えないのう』

そこには確かに二人しかいなかった。

褐色の肌にショートカットの金髪が映える、アヤカ。

対照的に、きめ細やかな白肌を持ち、明るい白茶色の長い髪をゆるく巻いた、モモ。

「他の子が確かにいないねぇ。どこ行ったんだろう」

『その点に関しては万事OKですので、、お気になさらず。』

焦りながら答える少年。アヤカは完全に疑いの目で睨みつける。

「嘘じゃないんだろうな。早く元の場所に戻してくれよ」

『戻すには我が国“セレティア”を救ってもらう必要があります!』

二人に使命を告げる少年はステンドグラスの光に照らされ、神々しく見えた。

「そんなの出来るわけ、、、」

「やりまーす!君なんて言うの?超可愛い顔してるね💕」

モモはそう言って少年を抱きしめた。少年はモモの大きな胸に顔を潰されて、息苦しそうにしている。

『若いと良いのう、、、ゴホン!こんなところで話していても、息苦しいでしょうから、外へ出ましょう』

老人は教会の扉を開けた。四人は教会が出ると、そこには今まで絵本などでしか見たことのないような異世界が広がっていた。

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