番外編
「「ふふーんふーん♬」」
「お前らご機嫌だな」
今日は休日、けれど先輩こと俺の奥さん弥生は神崎達のパン屋で仕事だ。 悠人と一緒に寄ってみたら神崎らに「忙しいのでなんなら手伝って下さい」と頼まれたのでちょっとだけ手伝っていた。
今は悠人と日向とこいつらのために昼飯でも買ってやろうと思い外出中だ。 忙しいくせに日向は一緒に買いに行こうと言いついて来てるが……
「ねぇ悠人、美味しいお昼ご飯買って来ようね」
「うん、麻里お姉ちゃん!」
日向は悠人にデレデレだ、可愛がってくれてる。日向だけじゃない神崎や篠原もだからありがたいことだ。
「別にどっかの弁当屋なんだからそこまで期待するもんじゃないだろ」
「いーの」
「いいもん」
日向に合わせて悠人も言う、仲良しだなこいつら。
「それに清人ともお出掛けだし」
「お出掛けだし」
「悠人、いちいち真似するな」
「だって清人は毎日弥生さんに独り占めされてるし」
「してるよー!」
悠人余計な一言を……
日向は悠人がそう言うと俺にジト〜ッと冷めた目線を送る。
「あーあ、悠人が大好きなママの陰口は悠人の前では言えないしなぁ」
「おいおい……」
すると悠人が手を繋いでいた日向をグイグイと引っ張った。 それに日向はしゃがんで悠人の前に顔を持っていく、どうやら耳を貸せと悠人は言いたいのだろう。
「麻里お姉ちゃん、パパのことが大好きだってママが言ってたよ」
耳を貸した意味もなく悠人は大きな声で日向に言うと日向はクスッと笑って悠人の頭を撫でた。
「ふふッ、そうだね。あたし清人のこと大好きだよ」
日向は悠人にそう言ったのに俺に向けて言っているような気がしてタラリと変な汗が出てくる。
「でもね、悠人のことも大好きなの」
「うん!僕も麻里お姉ちゃん大好き」
日向は立ち上がると……
「だから凄い複雑なんだ、清人」
「お、おう……」
俺もそれを聞くと複雑な気持ちになるよ。 と苦笑いしているとクスクスと日向は笑い出した。
「ごめん、ちょっと清人に意地悪してみた」
日向は俺の肩に手を触れて頭を乗せた、なんか昔一緒に住んでた頃を思い出すなぁ。
「あー、パパと麻里お姉ちゃんくっついてるー!」
げッ!! これは浮気と思われても仕方ない場面……
「悠人違う、これは……」
俺も昔を思い出していてなんの気なしだったからつい緩んでた。 なんて体のいい言い訳にしか聞こえないぞ…… それ以前に通じなそうだ。
「悠人、お姉ちゃんと約束ね? これは秘密だって」
「秘密? うん、わかったー!」
おいおい、お前秘密事なんて大丈夫か? しかも悠人くらいの歳にそんな秘密が守れるような気がしないぞ。
「あ、清人もだしあたし達3人の秘密だね」
「不吉な予感する秘密にしか感じないぞ……」
心の中ではマズい事をしてしまったと焦りまくる俺を見て日向は「大丈夫」と呟いた。
「弥生さんにね言ってみた事あるんだ」
「な、何を?」
「もしあたしと清人が2人きりになったらあたしは清人を誘惑しちゃうかもしれないって」
お前堂々と弥生にそんな爆弾発言を…… いや日向らしいけど。
「そしたら弥生さん「どうぞお好きに」って」
「え? いいのかよ……」
「こんな可愛い子達3人と住んでて好きって言われたのにわざわざ自分を選んでくれた清人だし信じてるって。 なんか思い出したらムカついてきた」
少しむくれた顔をしたような日向だが「はあー」と溜め息を吐いて悠人を持ち上げて抱いた。
「悠人のママは凄いねぇ」
「?? うん、ママ大好き!」
「そっかぁ。あたしもだよ」
俺何しに外出してんだっけ? あ、弁当買うんだったと頭の中を切り替えす。
「てかなんで歩き? 忙しいんなら車で行けばと思ったのに」
「いいじゃん、たまにはあたしのわがまま聞いてくれても」
「お前…… 帰ったら神崎と篠原に怒られるビジョンしか思い浮かばないけど」
「弥生さんにもね」
「パパ怒られるー!」
「なんで俺限定なんだよ」
案の定帰ってくると神崎らに遅いと怒られる。 日向はそんな神崎達の文句なんかどこ吹く風で欠伸をして腕を伸ばしスルーしている所を見るとホントに昔と変わらないなと思ってまた懐かしくなる。
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