第142話
元旦は大晦日に遅くまで起きてたせいかのんびりしていた。 日向の勉強も見ていた事もあって早くも1月2日になった。
「大分解けるようひになってきましたね、凄いです麻里」
「でしょ?」
「私から言わせるとまだまだだけどねぇ」
「むぅ……」
「いや凄いだろ、つーか日向はともかく実家に帰るの返上してまで勉強に付き合ってもらっていいのか? 篠原」
「いいんだよ、大事な時だしさ。 ていうかみんなで初詣行きたいな」
そういえば越して来てから行ってないな、去年もなんやかんやで行かなかったし。
「いいですね! 行きましょう、ね? 柳瀬さん」
「そうだな、行くか。 じゃあ日向、ちょっと勉強は休憩だな」
「やった、清人。 頑張ったご褒美になんかして?」
「なんかって…… おみくじ買ってやるよ」
「じゃあ私も!」
「あ…… わ、私もいいですか?」
「わかってるよ、それくらいみんなまとめて買ってやるよ。 ん? あ、そうだ。 昨日渡すの忘れてた」
神崎達にお年玉を用意していたんだった。 失業してたら渡せなかったかもしれないから危なかったな。
「これは…… いいんですか?」
「ああ、神崎家のおかげでちょっとリッチになったからさ」
「やったぁ清っち! 流石大人、まだかまだかと待っていたらようやくだね、にしし」
「こういう時は玄関な奴だな」
「ありがとう清人、使わないでとっておこう」
「ではありがたく受け取っておきますね。 ありがとうございます」
あ、初詣と言えば先輩も誘いたいなと思ったけど来てくれるだろうか? 先輩は家族と行ったそうな気がするけど。
「初詣に行くのに先輩も誘いたいなぁ、でも来てくれるかなぁ?」
「変な声だして何言ってるの?」
「ギクッ」
突然篠原が俺のモノマネをして俺の心情を言ってみせた。
「清っちの考えてる事なんてそんな事よ。 当たりでしょ?」
「お前鋭いな……」
「ウジウジ悩んでないで電話してみればいいじゃんまったく」
「っていいのかよ?」
「ハッキリしないまま行っても清っち上の空そうだもんね、貸しなさい」
「あッ!」
俺が手に持ってた携帯を横取りして先輩に電話を掛けようとした。
「お、おい! お前が出たらおかしいだろ?」
「いいからいいから! あ、出た出た。 もしもしー、弥生さん? 私だよぉー? うんうん、ちょっとね……」
先輩出てしまった…… 篠原だとわかったようで話している。
「うん、そういう事なの。 あ、そうなの? わかった」
話が終わったようで電話を切り携帯を俺に返した。
「で? あの人なんて?」
「行くってさ」
「彩奈、突然過ぎますよ。 乙川さんだって用事があったかもしれないでしょうに」
「大丈夫らしいからいいじゃん?」
近くの神社へ行くと駐車場にもう先輩らしき車が来ていた。
「なんか初詣って感じだね! 着物着てくればもっとそれっぽいけど私ら持ってないしね」
「清人が着て欲しいなら来年着ようかな、実家にあるし」
「こんなド田舎で着てくる人あんましいなんじゃない?」
「あ、みんなあけましておめでとう!」
そんな事を話していると先輩がこちらへ来た。
「あけましておめでとうございます先輩」
「今年もよろしくね!」
軽く挨拶を交わしお寺に入る。 出店出てるんだなここ。
「清っち、あれ買って〜」
「清人あたしにも」
「はいはい、神崎はいいのか?」
「私もあれ欲しいな…… な、なんて」
「いいよ」
「あら〜、莉亜ちゃんも柳瀬君に甘えるのね、うふふ」
「あんたどんだけ遠慮してんのよ? 見てらんないわ」
「麻里や彩奈が遠慮なさ過ぎるんです!」
「ほらほら、買ってやるからこんなとこで騒ぐなよ。 先輩も何か食べます?」
「ありがとう、でも私は最近ダイエット中なんだ、ひゃッ!」
「ふむふむ」
それを聞いた篠原は先輩の腰に手を回して撫でるように確かめた、なんか篠原の手付きがいやらしい……
「清っちが触りたそうに見てる」
「ッ!! ダメだよ清人」
「セクハラです柳瀬さん!」
「いやん、柳瀬君まで」
「清っちったらむっつりなんだから」
「篠原…… あとで覚えとけよ」
出店を一通り見た後、新年のお詣りだ。 何を祈ろうか…… 去年はドタバタしたし平和に過ごせますようにか? こいつらとこれからも上手く付き合えますようにか? うーん、こいつらが無事に大学に行ける事でも祈っとくか。
「清人何お願いしたの? あたしはね」
「言ったらダメなんだぞ?」
「え? 危なかった……」
「麻里のお願いなんて大体想像付くけどね、ついでに莉亜のも」
「な、なぜ私に振るんですか? というかなんでもいいじゃないですか! 小馬鹿にした顔するなんて失礼ですよ」
「あらあら、大体みんな一緒みたいだね。 妬けちゃうなぁ柳瀬君」
「え?! ど、どうなんでしょう……」
そしてお詣りした後おみくじを買ったりして初詣は終わるが先輩がうちに遊びに来たいという事になってその日は先輩も一緒に過ごした。
◇◇◇
それから…………
「ああ! ありましたよ! やりましたね麻里」
「本当だ…… あった」
「当然っちゃ当然よね。 でも良かったわね」
「はぁー、無事に受かってよかったな。 送って来た甲斐があった、誰か1人でも落ちてたら帰りはお通夜モードにってのはキツいからなぁ」
「あたしの事言ってるの?」
「いやいや、まぁ結果オーライだ。 頑張ったな麻里」
「えへへ」
3人とも無事に合格出来たようだ。 こいつらも来月には大学生か。 見た目はあんまり変わんないのに響きだけで少し大人に見えるような気がする。
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