ウラ(裏=真?)

  

 ウラといえば、裏ですね。裏というのは私たちからすればなんだか暗い、本当のものではない、得体の知れないものという認識がある概念です。

 でも、本当に裏というのは「副次的なもの」なのでしょうか。例えば一人、会社員がいます。会社の上司や後輩、取引先への電話。そこにはさまざまな「働く人としての顔」が出てきますし、周りの人にとってはそれがその人の印象ですね。でも、本当の心、本音、感情というのはそういう状況では殺され、裏にしまわれます。帰宅してくつろげば、本当の心が出てきます。


 ちょっと視点を変えて、占いに目を向けましょう。占い(ウラナイ)が裏の派生語であるのは言うまでもありませんが――占いとは、私たちの知りえないことを何らかの手段で表に出すことです。裏を調べて表を探るのです。


 いよいよ本質的な核をついていきます。心悲しいという語、何と読むでしょうか。「ウラガナシイ」ですね。そう、古代では人の心、こそがウラだったのです。でも、会社員の説明でもうお分かりの通り、今でも裏=真実というのはほどほどに浸透しているかもしれません。ここで大事なのは、古代思想は単に裏=真実ということではなく、ウラ=見えない真実であるということです。


 そういうことですから、もし裏という古代の思想に出会ったら、そこにある真実は常に「見えないもの」として語られると思っていてください。

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