9日目 雪見だいふく
彼曰く、このアイス、侮れない。
***
雪見だいふく、というアイス。
私のアイスランキングの中でも上位に入るアイスの一つ。
「だいふく」という名の通り、和菓子のようなかわいらしい見た目。
求肥を使っていることによるもちもちは、本家の大福にも引けを取らない。
つつけばムチムチでふわふわ。
口に入れる前から柔らかさが前面に出ている、美味しいに決まっているじゃないか。
べたつかないように粉がまぶされているのも地味にうれしい。
噛んでも嚙み切れないからと、口から離していくと伸びる伸びる。
生地が伸びてもう、ほんとに大福。
長いこと食べてないお餅の食感が冷たい感触とともに口に広がっていくの。
もはや和菓子じゃん、和菓子の愛が止まらないじゃん。
製作者の熱量を感じる商品。
中のバニラアイスは冷凍庫から出したばかりだと固い、食べづらい。
だから食べるときは少しだけ、ほんの少しだけおいてから食べる。
高級アイス・ハーゲンダッツのCMで、中条あやみが「幸せは時間をおいてやってくる」みたいなことを言っていたけどその通り。
雪見だいふくでも同じことが言えるとは。
雪見だいふくは日本のハーゲンダッツだったと言ってもいいのでは?
そうに違いないですね。
そんな雪見だいふくが進化したらしい。
「この前、雪見だいふくみたいなパンを見つけたんだ、まあまあおいしかったよ」
友達がそんなことを言ってきた、あるカフェでの雑談。
「雪見だいふくみたいなパンか、そんなのあるの?」
「そうそう、ほんとに雪見だいふくみたいなパンだった」
「もちもちなの?和菓子になってなかった?大丈夫?」
「和菓子ではないよ、あくまでパンだった。見た目がね、雪見だいふくみたいに真っ白で、パン自体もふわふわだった」
「でも雪見だいふくで大事なのって包んでいるもちもちじゃん?求肥は使われてるの?」
「ちゃんと入ってたよ、中に求肥が入ってて、アイスみたいなドロッとしたものがさらにその中に入ってた」
「なるほど、それは雪見だいふくみたいなパンだ」
「でしょ、ほんとに雪見だいふくみたいなパンなんだよ」
言ってて混乱してくる・・・、カフェでのきゃいきゃいとした会話ができているのはなんか私たちらしいといえばらしいけど。
雪見だいふくみたいなパン?そんなものが売っているの?
半信半疑のまま別れての家路。
友達が見つけたというファミマに寄っていく。
帰り道はどうしてもコンビニに寄ってしまうのが最近の悩み。
秋だからと言って食べすぎな自分の腹を憎く思いながら、今日は何を食べようかと物色していると。
「・・・ほんとだ」
見つけてしまいました、雪見だいふくみたいなパン。
てっきり形容詞としての「雪見だいふくみたいな」と思っていたのに、パンコーナーの陳列棚に置かれていたのは『雪見だいふくみたいなパン』。
まんま商品名だった。
そんなことあるのか、雪見だいふくみたいなパン・・・。
信じられないという目で3秒、これにしよと決意するまでに2秒。
和洋折衷に挑戦に出たマイフェイバリットアイス。
果たして私の好奇心を満たしてくれるのか。
結果は火を見るより明らかでした。
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