15日目 漢検

彼曰く、鬱噴。


 ***


カフェにて。

いつもの席がそろそろ確定してもよさそうだけど、そう毎日早起きできるわけでもないので、大体バラバラ。

昨日と同じところが空いてれば座れます。

でも休日はみんな示し合わせたようにカフェに押し寄せてくるので、なかなかそうもいきません。


でもこの週末はずっと雨だからか、カフェに来る人も少ないです。

12時過ぎてもまだ3割が空席のまま。

回転率の良さが求められるカフェでこの集客率は大丈夫なんでしょうか。

普段のカフェでも回転率がいいかと言われれば疑問がわくところですけど。

私みたいな1日中コーヒー一杯で居座ろうとする輩が何人いるんだか。

それでも経営が持っているのが素晴らしいところ。

さすがノマドの味方、スターバックスさんです。


昨日と違う、長テーブルの端っこの席が今日の主戦場。

今日は読書をメインに据えようと思って、ずっと読み溜めていた本を読んでいたところ、ふと前を見ると男の子が座っていました。

一生懸命ノートに文字をたくさん書いています。

人のノートを無断で覗き見るとテストで減点されると恩師に教わった気もしますが、私がノートを覗くのは自分の回答が終わってからだったので大丈夫。

ということで、さっと様子を窺ってみると文字は文字でも漢字ばかり。

漢検の勉強をしているようです、テキストがノートの横に2、3積まれていました。


実は私は漢検2級持ち。

準1級も挑戦しましたが、あと1点で落ちてしまったので、実質準1級。(何を言ってるんだ)

高校以来に受けたときは漢字に対するリスペクトとアフェクションが不足していたんでしょうね、難しかったです。


日本語学者によると、昔漢字を排斥しようという動きがあったそうな。

”日本郵便の父”として高名な前島密は、熱心な漢字排斥論者だったそうです。

東アジアくらいですからね、漢字使ってるの。

近代化という大義名分のもと、西洋文化に染まっていこうとしていた日本政府の意向に背く形で残っている漢字。

私はこの漢字が好きです。

アルファベットなどは一文字では何も意味しないものが多いです。

複数の文字が規則正しく並べられて初めて意味を成す。

一方で漢字は一文字で様々な意味を教えてくれます。

「部首やつくりなどに分けれるじゃん」という意見は聞きません。

一文字は一文字なので。

象形文字、会意文字、形成文字、指示文字。

漢字はその文字ができるようになった歴史、人類の進化と思考の足跡が積み上げられた結果なんです。

何気なく使っている漢字ひとつひとつにも歴史があるんです。

それで東アジア人が偉いとか、歴史人だというわけではありませんが、文化の重みを感じます。

また機会があったら受験したいですね。


それにしてもそこの君、”鬱噴”じゃないぞ。

”鬱憤”だ、不満を口に出しちゃだめだぞ。

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