3日目 ノームコア
彼曰く、自分に合った服装ってわかんないっすね。
***
定時前。
今日は少し遅く入ったので1時間遅く上がろうと思った。
その前に付箋を買いに行きたい。
ちょっとお腹すいたなーって思ったので、買いに行くついでにコンビニによる。
どうせ家に帰る途中でもコンビニに寄ってしまうんだろうな
また無駄な出費をしてしまうな
なんて考えながら、期間限定のうなぎ入りのおにぎりを買っていく。
一緒に行った後輩に「いいもん買ってますね」と言われ、少しだけ自慢げに見せびらかす。
べつにちょっといいやつを買える羽振りのいい人だと思われたいわけではない。
これがいわゆる私の”普通”なのだ。
食べたいものを食べたいように。
お金がちょっと心配でも、目についた食べたいものには惜しみたくない。
ちょっと手を伸ばせば届くなら喜んで伸ばしてしまう。
もちろんご飯食べに出ればその分いいものを食べたいから、余計に出す。
これも全然普通のこと。
コンビニによってご飯食べたのに、その2時間後にまたコンビニでご飯を買っているのもまたしかり。
私にとっては全くおかしいことじゃない。
「いいなー」という後輩、うらやましいなら買ってしまえ。
欲望に忠実なのもまた、普通のことと私は思う。
会社に戻ると先輩と後輩が話していた。
「僕に似合う服がわかんないんですよね」
「私はそれでいいと思うけどね~」
と、いろんなジャンルの服に身を包んだ男女が入り乱れてファッションセンスの話をしている。
自分に似合うかどうか、考えていろいろ試してみるけど。
結果、落ち着くのがいつもの服になってしまうのが悩みらしい。
それもまた普通のこと。
”その人らしい服装”なのであれば、服なんてなんでもいいと思う。
ブランドものだろうが、ファストファッションだろうが、古着だろうが、服は服。
TPOと清潔感さえわきまえていれば、何着てもいい会社なんだからそこまで悩む必要はないと思うけど。
まあ人には人の、いろんな普通があるからね。
究極の普通を求めたいなら、圧倒的”没個性”を身に着けるべき。
それが求めているものなら、の話だけど。
自分の中の普通って難しいね。
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